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<< 学会誌へ戻る 緒言：大動脈閉塞バルーンカテーテル（IABO）は近年産科領域で全前置胎盤，癒着胎盤症例に使用され注目を集めつつある．当院で全前置胎盤癒着胎盤2例，母体救命の出血性ショック例計3症例に対しIABOを施行した為報告する．【症例1】31歳2経妊2経産（2回帝王切開）妊娠22週時に全前置胎盤癒着胎盤が疑われ来院．上記診断と切迫早産で管理入院となった．妊娠27週6日と妊娠29週3日に警告出血を認め，癒着胎盤の出血リスクを本人家族に説明し子宮全摘希望となった為，妊娠30週1日IABO下で緊急帝王切開術，腹式子宮全摘術を施行した．9分間血流を遮断，総出血量は2225mlであった．【症例2】28歳3経妊1経産（子宮外妊娠 自然経腟分娩の後，自然流産）妊娠23週時に全前置胎盤疑いで来院した．子宮筋層は菲薄化し超音波上全前置胎盤癒着胎盤が疑われた．妊娠34週3日IABO挿入下で緊急帝王切開術を施行，胎盤は全面癒着し剥離不可能であった為，腹式子宮全摘術も追加した．8分間血流を遮断し総出血量は800mlであった．【症例3】33歳0経妊0経産 妊娠39週4日 他院で分娩進行中に常位胎盤早期剥離となり緊急帝王切開術を施行後，出血性ショックとなり母体救命搬送となった．来院時ドレーン出血が著明な為，開腹止血術を行い右子宮動脈切断による出血性ショックと診断，来院前の出血は推定5000ml，開腹時の腹腔内貯留出血が2000mlであった．IABOを挿入し合計37分間血流を遮断，術中出血が約1800mlとなった．子宮温存を試みたが2日後に子宮壊死となり腹式子宮全摘術となった．結語：IABOは産科の大量出血が予想される手術や出血性ショック等の母体救命症例では術野の視野改善，出血量の低下につながる為，非常に有用と考える． 関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 320-320, 2011 |
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