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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
中期中絶において発症した大量子宮出血に対して子宮内バルーンタンポナーデ法が有効であった低置胎盤の1例


長田 亮介, 井田 耕一, 大野 珠美, 野池 雅実
北信総合病院産婦人科


低置胎盤症例の中期中絶においては,処置中の大量子宮出血の可能性について常に考慮しなければならない.今回我々は中期中絶において発症した大量子宮出血に対して,メトロイリンテルを用いた子宮内バルーンタンポナーデ法が有効であった低置胎盤症例を経験したので報告する.症例は26歳2回経妊0回経産の未婚女性であり,他院にて妊娠確認された.人工妊娠中絶の希望があるものの,低置胎盤であることから当科紹介となった.当科初診時,胎盤は子宮後壁付着で内子宮口から胎盤までの距離は11.8mmと低置胎盤と考えられる所見であった.中期中絶においては大量出血の可能性があるため,輸血や場合によっては子宮摘出が必要となることがあることを説明したのち,同意を得て中期中絶施行の方針とした.妊娠20週4日に当科へ入院して子宮頸管拡張を行い,妊娠21週0日には子宮口は3cmまで開大した.同日ゲメプロスト1mgを腟内に挿入したところ,25分後より凝血塊を交えた持続的な子宮出血を認めた.緊急避難的にメトロイリンテルを蒸留水100mlにて子宮内に留置したところ一旦出血は止まった.輸血を行いつつ処置を続行し,同日462gの男児娩出となった.経過中血圧,脈拍は安定しており,分娩後の子宮収縮も良好であった.分娩経過中の出血量は合計で1815gであり,濃厚赤血球4単位および新鮮凍結血漿2単位が使用された.低置胎盤症例の中期中絶における大量出血では,バルーンタンポナーデ法は,低侵襲で迅速に施行できるため,輸血や開腹術の準備もしつつ,まずは試みてよい方法であると考える.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 321-321, 2011


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