|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
ステロイドパルス療法にて改善した神経ベーチェット病合併妊娠の一例
伊豆田 千夏, 田中 亜由子, 鈴木 真, 松浦 拓人, 佐藤 摩耶, 可世木 華子, 高木 清考, 高矢 寿光, 羽成 恭子, 古澤 嘉明, 清水 幸子
亀田総合病院産婦人科
【緒言】神経ベーチェット病はベーチェット病の特殊型に分類され,治療はステロイド療法に比較的反応し,改善することが多いが,重症化する場合には予後不良であり,急性発作を繰り返しながら慢性型へ移行することがある.今回,外陰部潰瘍,持続する発熱に引き続く記銘力障害の精神症状から,神経ベーチェット病と診断し,ステロイドパルス療法にて精神症状が改善した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症例】38歳,1回経産.前回妊娠経過中に外陰部潰瘍認めるも,ベーチェット病の診断に至らず,外陰部潰瘍は分娩後に軽快・消失した.今回妊娠初期より外陰部潰瘍があり,増悪を認めた.妊娠16週より発熱,炎症反応の増強を認め,不全型ベーチェット病と診断し経過観察していた.妊娠23週より記銘力障害が出現し,妊娠26週に健忘症状が顕著となり,頭部MRI検査両側尾状核,右被殻周囲に異常高信号あり,神経ベーチェット病と診断した.妊娠29週1日よりステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1g/日3日間),続いてメチルプレドニゾロン40mg/日を施行し,健忘症状は消失,記銘力障害は徐々に軽快した.また,ステロイド療法開始直後より妊娠糖尿病を発症し,インスリン導入となった.妊娠38週,既往帝王切開術のため,選択的帝王切開術施行.2358g,男児,ApgerScore8/9点,臍帯血pH7.360.インスリン使用妊娠糖尿病例のため,NICU入室となり,低血糖やステロイド離脱症状なく経過順調にて退院となった.分娩後インスリンは中止し,妊娠糖尿病は改善し,神経ベーチェット病はメソトレキセート投与し,再燃なく経過した.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
324-324, 2011
|