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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
肺動脈血栓塞栓症をきたした,妊娠を契機に発症した活動期SLEの1症例
永田 のぞみ, 林 雅綾, 入江 太一, 史 周霞, 市村 建人, 加藤 理恵子, 飯塚 真, 濱田 佳伸, 榎本 英夫, 坂本 秀一, 林 雅敏
獨協医科大学越谷病院産婦人科
【緒言】全身性エリテマトーデス(SLE)は臓器非特異性自己免疫疾患で多臓器障害をきたし増悪と寛解を繰り返しながら経過する.妊娠・分娩は増悪因子であるが,若年女性に好発するため妊娠合併は稀でない.今回,他院で体重増加と全身浮腫を指摘され,精査の結果妊娠を契機に発症した活動期SLEと判明した症例を経験したので報告する.【症例】24歳,0経妊0経産.他院で健診時,急激な体重増加と全身浮腫を指摘され,妊娠19週6日に当院受診し入院となった.入院時,凝固・線溶系異常,低Alb血症,甲状腺機能低下,尿蛋白陽性,梅毒血清反応生物学的偽陽性を認めた.そのため,自己抗体を検索したところ抗リン脂質抗体陽性,抗核抗体陽性,抗DNA抗体高値,低補体血症,血沈高値,汎血球減少,手指末端の紅斑を認めAPS合併の活動期SLEと診断した.血圧上昇や尿蛋白増加を認めたため,降圧剤・バイアスピリンを開始した.胎児発育は順調であったが,臍帯動脈拡張末期血流の途絶を認め,IUFDの可能性を伝えたところ妊娠継続を希望せず,ヘパリン投与下で妊娠21週2日に中期中絶を施行した.中絶後もアスピリン・ヘパリン療法を継続していたが,内科的治療開始前日の産褥3日目に突然の呼吸苦・低酸素血症が出現し,CTにて右肺動脈血栓像を認めた.下大静脈フィルターを留置し血栓塞栓症の再発予防をした.その後,呼吸器症状は安定し増悪なく,ワーファリン内服に変更投与した.【結語】妊娠を契機に発症した活動期SLEの1症例を経験した.活動期SLEでは妊娠により病態が悪化する可能性が高く,また産褥期にはSLEは増悪するため,充分な管理が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
325-325, 2011
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