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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
産褥期に不明熱を認め,画像検査により大動脈炎症候群と診断した1例


村上 圭祐, 山田 敦子, 御木 多美登, 山口 貴史, 菅沼 牧知子, 田中 沙織, 村岡 友美子, 田中 利隆, 五十嵐 優子, 田口 雄史, 三橋 直樹
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科


【緒言】産褥期の発熱の原因は,子宮内感染が多く,その他に乳腺炎,尿路感染症,血栓性静脈炎などがある.今回我々は,産褥期に不明熱を認め,抗生剤治療に抵抗を示し,画像検査により大動脈炎症候群と診断した1例を経験したので報告する.【症例】37歳,1経妊1経産.前回の分娩は経腟分娩で,産後,発熱,血液検査で炎症反応の上昇を認めたが,この際は抗生剤治療で軽快した.今回の妊娠経過も分娩までは異常は認めなかった.妊娠37週に前期破水で入院,NRFSの適応で鉗子分娩となった.児は2574g,男児,Apgar score 9/9であった.産褥2日目より38度台の発熱,血液検査でWBC 28000,CRP 7.4と炎症反応の上昇を認め,子宮内感染を疑い,抗生剤治療を行った.その後,血液検査で更なる炎症反応の増悪を認め,子宮内,血液の培養検査では特別な菌は検出されず,他の原因検索のため造影CT検査を施行した.大動脈弓から下行大動脈にかけて壁肥厚,周囲の炎症性変化を認め,大動脈炎症候群が疑われた.PET-CT検査でも同部位に集積亢進を認め,3D-CT-angio検査で右総頚動脈から内頚・外頚動脈に狭窄・拡張性病変を認めたため大動脈炎症候群と診断した.ステロイド内服治療を開始したところ,発熱,血液検査の値は速やかに改善した.【結語】産褥期の発熱においては,抗生剤治療に抵抗を示す場合には,不明熱をきたす全身性の疾患を鑑別する必要がある.本症例のように画像検査が診断に有用なことも多く,積極的に行うべきである.また,大動脈炎症候群は症状が非特異的であるため診断に難渋するが,生殖年齢女性に多い疾患で,妊娠に合併することも稀ではないため,不明熱の鑑別疾患として考慮する必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 325-325, 2011


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