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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
もやもや病合併妊娠の一例
千葉 純子, 中島 義之, 田代 英史, 和田 真沙美, 草西 多香子, 諸岡 雅子, 都築 陽欧子, 本田 能久, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母体胎児・婦人科
もやもや病は原因不明の頭蓋内内頸動脈終末部の狭窄あるいは閉塞を一次病変とし,二次的に生じてくる側副血行路群を特徴とする疾患であり,好発年齢は虚血症状で発症することが多い10〜14歳と,出血症状で発症することの多い40歳代の2峰性を示す.今回我々は初回妊娠を流産した後に脳梗塞を発症し,もやもや病と診断され,次の妊娠では分娩後に脳梗塞を再発した1例を経験したので報告する.
症例は30歳1回経妊0回経産婦.初回妊娠は妊娠19週で自然流産した後に脳梗塞を発症し,類もやもや病と診断され,抗血小板薬を内服し脳梗塞症状は改善していたが,流産の6ヵ月後,自然妊娠したため当院紹介となった.妊娠19週に子宮頸管長短縮を認めたため子宮頸管縫縮術を施行し,妊娠28週には妊娠糖尿病のためインスリン治療開始したが,妊娠経過中に脳虚血症状の発症は認めなかった.脳神経外科と相談の後,経腟分娩による脳出血や脳虚血のリスクを考慮し,妊娠37週に帝王切開術を施行し,3,088gの女児を分娩した.分娩4日後,右上肢のしびれなどの症状が出現し,頭部MRIにて新たな梗塞巣を認めた.その後も一過性脳虚血発作を頻回に認めたため,もやもや病疑診例で,それによる脳梗塞と診断した.分娩後1ヶ月に左側浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術施行し,現在,新たな梗塞巣はなく,経過良好である.
本症は,脳出血や脳虚血症状出現時の対応には緊急を要することも多いため,妊娠中の管理は脳神経外科・麻酔科などと連携し,分娩の時期や様式なども慎重に検討する必要があると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
327-327, 2011
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