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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
脳melanocytosisによる意識障害を発症後7か月で母体死亡に至った一絨毛膜二羊膜双胎妊娠の一例


司馬 正浩, 一瀬 隆行, 鎌田 英男, 市田 宏司, 笹森 幸文, 木戸 浩一郎, 梁 栄治, 綾部 琢哉
帝京大学産婦人科


妊娠中の脳melanocytosisに関しては報告例が確認できない.今回急激な転帰をたどった症例を経験したので,考察を加え報告する. 症例は40歳未経産婦.自宅で意識障害を発症し倒れているところを婚約者に発見され同日救急入院となった.Japan Coma Scale(JCS):I-3,Glasgow Coma Scale(GCS):11点であった.問診や超音波検査から,妊娠10週5日の一絨毛膜二羊膜双胎妊娠と診断した.動脈血pH 6.771,BE -32.2と著明なアシドーシスを認め,気管内挿管管理とした. 髄液検査上くも膜下出血や髄膜炎は否定的であった.MRI検査でメラノサイトのびまん性播種あるいは浸潤性の進展,胸髄レベルの髄膜播種が疑われた.妊娠12週3日,小開頭腫瘍生検術を施行した.病理学的には脳melanocytosisであり,生物学的に悪性黒色腫の髄膜癌腫症で矛盾しないと判断,有効な治療法はなく生命予後は2〜3か月と推定された. ラモトリギン投与下に意識状態は徐々に回復し,正常な会話が可能となった.妊娠15週5日退院したが,妊娠16週3日に自宅で意識障害を発症し,再入院となった.JCS:II-30,GCS:7-8点であった.記銘力障害,高次脳機能障害が認められたが,緩徐に改善した. 妊娠18週3日に一児子宮内胎児死亡となったが,生存児の発育は良好であり,死胎児症候群の発症もなかった.はじめは妊娠継続の希望があったため,胎児の状況変化による帝王切開術の可否などが当院臨床倫理委員会で検討された.その後,本人の判断力が正常と判断されるまでに回復した時点で,妊娠20週4日に母体保護法第十四条にのっとり人工妊娠中絶術を施行した.その後他施設の緩和ケア病棟に入院し,意識障害の初発から7か月で永眠された.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 328-328, 2011


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