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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
帝王切開術後にマイコプラズマ感染による膿瘍形成をきたした2例
佐柄 祐介, 佐藤 茂, 三塚 加奈子, 高橋 千果, 西村 修, 近藤 朱音, 石本 人士, 和泉 俊一郎, 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科
【緒言】マイコプラズマ属は種々の感染症を惹起し,産褥感染症の起炎菌としても知られている.今回我々は帝王切開後にマイコプラズマ感染により膿瘍形成を来たし産褥熱を発症した2例を経験したので報告する.
【症例1】35歳0経妊0経産.妊娠40週2日に前期破水にて前医入院.誘導分娩を行うも妊娠40週4日に4分間の間代性痙攣出現し,当院へ搬送.子癇発作の診断にて緊急帝王切開施行.術後よりフロモキセフナトリウム(FMOX)を静脈投与するも,術後7日目にWBC16400/mm3,CRP21.58mg/dlと炎症が悪化したため,抗生剤をドリペネム(DRPM)へ変更.腹部CT上は子宮頚部周囲膿瘍が疑われた.その後,炎症の改善が認められず敗血症,DICを来したため試験開腹施行.汎発性腹膜炎を認め子宮温存は不可能と判断し,子宮全摘に至った.これまでの培養にて有意な起炎菌は検出されなかったが,上記抗生剤無効の起炎菌を想定して塩酸ミノサイクリン(MINO)を開始し,炎症は改善した.その後,腹水,創部の培養よりマイコプラズマ属が検出された.
【症例2】31歳0経妊0経産.妊娠40週6日に分娩停止の診断にて緊急帝王切開施行.術前よりFMOXを静脈投与していたが,術後3日目にWBC17000/mm3,CRP22.36mg/dlと炎症が悪化し,術後5日目に抗生剤をDRPMへ変更.その後も炎症は改善せず,術後8日目の骨盤MRI上,皮下から子宮切開創部にかけて膿瘍形成を認めた.膿瘍ドレナージ施行,抗生剤をMINOに変更し,炎症は改善した.悪露及び膿瘍のPCR検査よりマイコプラズマ属が検出された.
【考察】マイコプラズマ感染の診断は困難であるため,産褥感染症の起炎菌の一つとしてマイコプラズマ感染を念頭に入れた管理が必要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
328-328, 2011
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