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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
一児に先天性両側肺無形成症を認めた1絨毛膜2羊膜性双胎の一例
小宮 春奈1, 中村 佳子1, 岡崎 有香1, 関坂 みゆき2, 兒玉 理1, 中尾 砂理1, 漆川 邦1, 藤木 豊1
水戸済生会総合病院総合周産期母子医療センター産婦人科1, 筑波大学産婦人科2
【緒言】肺無形成症は,片側あるいは両側肺の完全欠如又は高度肺実質形成不全が認められる稀な発生異常である.なかでも両側の肺無形成症は予後が極めて不良である.今回我々は,1絨毛膜2羊膜性双胎(以下MD双胎)の1児に先天性両側肺無形成を認め,周産期管理に苦慮した症例を経験したので報告する.【症例】30歳,初産婦.家族歴に特記事項なし.自然妊娠しMD双胎のため当院紹介初診.妊娠24週の胎児超音波で第1児(以下患児)の肝臓が胸腔内に嵌入しており両肺は描出されず,心拡大,心臓偏位を認めた.妊娠26週の胎児心エコーでは肺動脈に血流を認めず,肺低形成を疑った.第2児(以下健児)には明らかな異常は認めず両児の成長程度は正常であった.妊娠28週に患児の胎児心拍が100bpm程度と徐脈を認めNRFSを疑い入院管理とした.入院後患児に徐脈を認めるものの両児共well-beingは良好であった.妊娠30週胎児MRI施行,患児は両側肺無形成と診断した.児娩出の時期につき新生児科とカンファレンスを続け,妊娠30週推定体重患児1050g,健児1100gとFGRのため分娩の方針とし,妊娠31週0日帝王切開分娩とした.患児は1118g女児 APG5/5(1分後/5分後)出生直後より啼泣なく,喉頭展開するも挿管チューブが進まず,マスクバッグ換気を試みたが改善なく出生後1時間14分で死亡.Autopsy imagingでは気管閉鎖,両側肺無形成を認めた.健児は1209g女児APG7/9で早産,低出生体重児である以外特に問題なかった.【結語】MD双胎の1児のみに胎児異常を認めたが超音波検査での確定診断は困難であり,胎児MRI検査での診断が有用であった.本症例はMD双胎で1児IUFDのリスクがあったため管理方針に苦慮した1例であった.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
331-331, 2011
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