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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
当院における双胎妊娠の形態異常児に関する検討
田丸 俊輔, 西林 学, 水上 順智, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産科婦人科
【緒言】双胎妊娠では単胎妊娠と比べ形態異常児が多いとされているが,双胎妊娠では胎児期の超音波診断が困難な例にも遭遇する.そこで,双胎児の形態異常診断の現状と注意すべき点を明らかにする目的で,当院で出生前より管理した双胎の形態異常児を後方視的に検討した.【方法】2007年1月から2011年4月の間に,当科で妊娠分娩管理を行った妊娠22週以降の双胎児272例,単胎児2299例を診療録から解析した.【結果】早期新生児期に診断された形態異常の頻度は,双胎児全体では4.8%(13/272),DD双胎で3.5%(6/170),MD双胎で6.3%(6/96),MM双胎で16.7%(1/6)であった.一方単胎児のそれは6.8%(156/2299)と,有意ではなかったもののむしろ高頻度であった(p=0.21).これは,単胎児に形態異常の可能性を指摘された紹介例が多いことによるものと推察された.出生前の超音波検査で,何らかの形態異常を指摘していた割合は,双胎では38.5%(5/13)であるのに対して,単胎では88.5%(138/156)であり,双胎で有意に低く(p<0.01),超音波検査での胎児の重なりや検査が長時間におよび十分な審査ができていないなどの理由が考えられた.双胎の形態異常で最も頻度の高いのは心血管系異常53.9%(7/13)であり,全出産児に占める割合は2.6%(7/272)であった.【結論】双胎妊娠では単胎妊娠に比し,胎児形態異常の発見が困難であることが示唆された.形態異常の中では特に心臓血管異常の頻度が高く,これらに留意した超音波検査を行うことが重要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
332-332, 2011
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