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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
胎児異常指摘例における自然軽快例の検討
渡部 耕平, 谷垣 伸治, 松澤 由記子, 武田 郁恵, 前原 真理, 松島 実穂, 宮崎 典子, 橋本 玲子, 和地 祐一, 井澤 朋子, 酒井 啓治, 岩下 光利
杏林大学産婦人科
【目的】先天異常の出生前診断は,健康な子を得たいという希望にこたえ,胎児の健康を守るという目的のために必要と考えられている.しかし,出生前診断の限界性による情報の不確実性の問題もある.今回我々は,妊娠中期以降に超音波断層法にて胎児異常を指摘された例のうち,精査にて異常を認めなかった例及び経過観察中に自然に軽快した例について検討した.【対象と方法】平成20年4月1日から平成23年6月30日まで胎児超音波精査外来を紹介受診した307例を対象とし,後方視的に検討した.【結果】妊娠中期以降に胎児異常を指摘され受診した例は238例,そのうち当科による精査で異常を認めた例は184例であった.異常を認めなかった54例の主な紹介理由は,胎児発育不全10例,脳室拡大9例,不整脈6例,羊水過多6例,心室内高輝度像4例,胃胞の異常像3例であり,実際に出生後に異常を認めた例もなかった.精査にて胎児異常を認めるも経過観察中に自然軽快した例は12例あり,その内訳は,不整脈4例,腹水3例,胸水2例,胸腔内腫瘍・副腎出血・卵巣腫瘍が各1例であった.【考察】先天異常の出生前診断後に妊娠を継続した家族に対する適切な情報提供は,妊娠継続期や出生後のQOLをより良い状態へと導くと報告されている.しかし出生前診断の限界や経過観察で自然軽快する例もあることから,説明は慎重に行われる必要がある.一方,病状が増悪する例も認められることから,病状を軽視するような安易な説明は医療事故につながる可能性もある.複数の目で診察を行うことや経時的な観察の重要性を再認識した.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
333-333, 2011
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