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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
妊娠中に深部静脈血栓症を発症し,プロテインS欠乏を認めた2例
寺門 千華, 長谷川 瑛, 寺田 秀昭, 高江洲 陽太郎, 芥川 修, 寺内 文敏, 井坂 恵一
東京医科大学産婦人科
妊娠中に深部静脈血栓症を発症する妊婦は近年増加傾向にある.これらの妊婦に対する周産期管理は下大静脈フィルター挿入による管理や,抗凝固療法を行うなど管理が重要になってくる.妊娠時に発症する深部静脈血栓症では,抗凝固機構や線溶系機構の欠乏により時に重症化しやすい.今回は妊娠初期に深部静脈血栓症を発症し,プロテインS活性の低値を認めた2症例を経験したので報告する.症例1は,34歳の初産婦で妊娠13週に両下肢の深部静脈血栓症を発症し,プロテインS欠乏と診断された.妊娠中はヘパリンカルシウム自己注射にて管理し,分娩前の評価にて新たな血栓が確認されなかったためフィルターの挿入はせず,妊娠37週4日分娩誘発にて正常経腟分娩となった.症例2は,30歳の初産婦で妊娠16週に下肢深部静脈血栓症を発症し,プロテインS欠乏と診断された.妊娠中はヘパリンカルシウム自己注射にて管理し,分娩前に再度血栓評価行うも新たな血栓は確認されず,フィルター挿入せず妊娠35週5日自然陣痛発来し,経腟分娩となった.妊娠中に発症した深部静脈血栓症に対する周産期管理では,妊娠中の十分な抗凝固療法を行うことと,分娩時の血栓塞栓症の予防と分娩方法選択が重要となってくる.今回は2例とも下大静脈フィルターは挿入せず分娩を行えたが,事前の十分な評価が重要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
334-334, 2011
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