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<< 学会誌へ戻る 【緒言】子宮粘液性平滑筋肉腫は稀な疾患であり，肉眼的にゼラチン様の割面を有し，病理組織学的に類粘液様背景をもち，核分裂像が少ないにも関わらず予後が不良である．一方腹膜偽粘液腫は粘液産性能を有する低悪性度の腫瘍細胞が腹腔内にゼリー状の腹膜播種性病変を形成する病態である．今回我々は，手術中の肉眼的所見より虫垂原発の腹膜偽粘液腫を疑ったが，病理組織所見より子宮粘液性平滑筋肉腫の診断がついた一例を経験したので報告する．【症例】症例は48歳，2経妊2経産．6年前より月経不順，不正性器出血あり，5年前に当院を初診．子宮内膜生検にて単純子宮内膜増殖症であり，腫瘍マーカー，スメアにて異常なく，経腟エコーにて9cm大の子宮筋腫を認め，患者希望にて経過観察していた．2年前まで所見の著変なく当院外来で経過観察していたが，その後受診されず．その後より増悪した腹痛，腹部膨満，微熱持続，食思不振の症状のために当院再診．MRI検査で，腹膜播種を伴い径18cm大の多房性嚢胞部位を伴う分葉状充実性腫瘤を認めたため，子宮肉腫・腹膜播種を疑い手術を施行した．術中の肉眼的所見では，腹腔内に粘稠な腹水を多量に認め，子宮と一塊となった粘液状の腫瘍が虫垂を巻き込むように発育しており，腹膜に粘液状の多数の播種病変を認めた．術中所見より虫垂原発の腹膜偽粘液腫が疑われ，腹式単純子宮全摘術および両側付属器摘出術，虫垂切除術を施行した．病理の最終診断は，子宮粘液性平滑筋肉腫であり，虫垂粘膜上皮には腫瘍を認めなかった．【結論】腹膜播種をきたした子宮粘液性平滑筋肉腫は，肉眼的に腹膜偽粘液腫と類似するため，鑑別には留意が必要である． 関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 340-340, 2011 |
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