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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
MPA療法後,卵巣転移をきたした子宮体癌の2例
左 時江, 織田 克利, 川名 敬, 曾根 献文, 森 繭代, 松本 陽子, 有本 貴英, 大石 元, 中川 俊介, 矢野 哲, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
MPA療法は早期の子宮体癌の妊孕性温存療法として若年女性で施行されることが少なくない.一方,子宮体癌と卵巣癌は重複することがあり,特に40歳以下の体部類内膜腺癌では卵巣癌の合併の頻度が高いことが指摘されている.今回我々は,MPA療法後に卵巣転移をきたした子宮体癌の2例を経験したので報告する.症例1;32歳0経妊,子宮体癌(類内膜腺癌grade1)Ia期の診断でMPA療法が施行されたが,8週後の内膜全面掻破にて筋層浸潤を伴う類内膜腺癌が認められたため,準広汎子宮全摘・両側付属器切除・大網切除・骨盤/傍大動脈リンパ節郭清術が施行された.術前1ヶ月のCTでは径5cmであった左卵巣腫瘍が,開腹時には径14cmと増大していた.右卵巣および大網にも径1cm弱の結節があり,子宮体癌の転移と診断された.Stage IVb期(pT3aN0M1)の診断にて,術後化学療法(PTX+CBDCA)を施行中である.症例2;38歳1経産,26歳時に子宮体癌(類内膜腺癌grade1)Ia期の診断でMPA療法を26週間施行,寛解が確認された.その後,クロミフェン-hCG療法にて妊娠し正常経腟分娩に至った.分娩後1年8ヶ月で子宮体部の再発,及び,左卵巣腫瘍(術前CTで径5×2cm大)が認められ,準広汎子宮全摘・両側付属器切除・大網切除術・骨盤/傍大動脈リンパ節郭清術が施行された.子宮体部類内膜腺癌の卵巣転移と診断された.Stage IIIa(pT3aN0M0)の診断で術後化学療法(CPA+ADM+CDDP)3コースと全骨盤照射(50 Gy)が施行された.術後8年で肺転移が認められ,現在加療中である.以上より,MPA療法を施行する患者においては,卵巣病変の有無も注意深くみていく必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
342-342, 2011
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