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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
異所性妊娠との鑑別に苦慮した妊娠4週の黄体嚢胞破裂の1例
近藤 壯, 塩野入 規, 横井 由里子, 塩沢 功
波田総合病院産婦人科
今回我々は異所性妊娠との鑑別に苦慮した妊娠初期の黄体嚢胞破裂の一例を経験したので報告する.
症例は28歳,未婚,未経妊.無月経5週5日性交後に右下腹部痛を自覚し,A病院救急外来を受診した.理学的に腹痛以外の炎症徴候を認めず,血液検査でもWBC:8100/μl,Hb:14.8g/dlと貧血なく鎮痛剤を投与されたが,腹痛は改善せず翌日B病院救急外来を受診した.妊娠反応陽性のため,無月経6週1日B病院の婦人科へ紹介された.この時,超音波検査で腹腔内出血を認めHb:9.3g/dl,尿中hCG:226.9IU/Lと急速な貧血の進行を認め子宮外妊娠を疑って,同日当院に救急搬送された.当院受診時,尿中hCG:64IU/Lと低下していた為,卵管流産を疑い,経過観察した.翌日精査目的にMRI施行したところ右卵管破裂を疑う所見・径9cmの急性期血腫を認め緊急腹腔鏡下止血術を施行した.術中,子宮・卵管は正常であり右卵巣に破裂及び凝血塊付着を認めたため右卵巣妊娠破裂を強く疑った.しかし術後5日目に子宮内に胎嚢出現し,尿中hCGも1024IU/L以上に上昇した.右卵巣内容物の病理組織診の結果より妊娠初期の黄体嚢胞破裂と最終診断した.異所性妊娠は急性腹症の原因として代表的な疾患であるが,子宮内外同時妊娠や卵巣出血なども念頭において診断・治療に臨むべきであると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
344-344, 2011
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