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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
画像診断が困難なStromal luteoma(間質性黄体腫)による閉経後性器出血の一例


品川 光子1, 笹澤 智聡1, 窪田 文香1, 山田 香織1, 高木 緑1, 矢島 修1, 中村 智次2, 高木 靖1
諏訪赤十字病院産婦人科1, 諏訪赤十字病院病理2


【緒言】閉経後性器出血の鑑別診断として,卵巣のホルモン産生腫瘍がある.Estrogen産生腫瘍には性索間質系に属する顆粒膜・莢膜細胞腫の他,Steroid細胞腫瘍がある.その一型で,Stromal luteoma(間質性黄体腫)は全卵巣腫瘍の0.02%と非常に稀であり,80%は閉経後に発生し,予後良好ではあるが,小腫瘤(平均1.3cm)にとどまるため,画像診断で見落とされやすい.【症例】58歳,5経妊 2経産,閉経:48歳.51歳より透析治療中(慢性腎不全)であり,52歳で閉経後性器出血のため前医を受診し,諸検査で異常なく,55歳で当科に紹介となった.超音波やMRI検査で子宮腫大(長径89mm)と内膜肥厚(9mm)を認めたが,明らかな付属器腫瘤は認めなかった.子宮頚部や内膜の細胞診,内膜掻爬による組織検査でも悪性所見や内膜増殖症を認めなかった.血液検査では腫瘍マーカーは正常範囲であったが,E2:65pg/ml,Progesterone:1.2ng/ml,FSH:139mIU/mL,LH:97mIU/mLといずれも高値であった.高Estrogen血症の原因は不明のまま,その後も性器出血や貧血の増悪を認めたため,58歳時に止血目的で腹腔鏡下に子宮・付属器を摘出した.右卵巣に1.2cmの結節状腫瘤を認め,病理検査でstromal luteomaと判明し,子宮には異型内膜増殖症(複雑型)も認めた.現在(術後半年),E2は10 pg/ml未満の低値で,更年期様症状が出現している.【結語】腫瘍径が小さいため術前診断が困難で,不正性器出血の鑑別に長期間苦慮した症例を経験した.閉経後出血では,症例によっては血中ホルモン検査も有用であり,原因不明の高Estrogen値を認める場合,稀ではあるがStromal luteomaを念頭におく必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 345-345, 2011


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