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<< 学会誌へ戻る 成人型顆粒膜細胞腫は全卵巣腫瘍の1〜2％に見られ，境界悪性に分類される性索間質性腫瘍である．肉眼的には充実性腫瘍とされている．今回，腹腔内を占拠し，充実成分を認めなかった顆粒膜細胞腫を経験したので報告する．症例は59歳の3経妊3経産婦．50歳閉経．腹部膨満感と体重増加を訴え内科受診するも診断まで至らず，3ヵ月後の企業健診での経腹超音波にて骨盤内腫瘍を指摘され，当科受診となる．経腟超音波検査で11cm以上の単房性，壁不整及び充実成分を伴わない腫瘍を認めた．子宮内膜は8mmと肥厚，血液検査ではE2が64pg/ml，FSHが14.9pg/mlを示し，1ヶ月前に不正出血を認めていた．子宮内膜細胞診では異常を認めなかった．MRIでは腹腔内を占める27cm大，充実成分を認めず，一部隔壁を認め，壁はやや厚い嚢胞性腫瘤を認めた．粘液性腫瘍においてもE2産生能が認められることより，術前診断は卵巣粘液性腫瘍とし，手術療法の方針とした．開腹し腹膜直下に腫瘍を目視，腫瘍は横隔膜下にまで達しており，腸管と癒着を認めた．小切開を加え内容物を吸引してから両側付属器切除を行った．腫瘍は左卵巣由来であり右側卵巣は正常であった．吸引内容物は5.500ml，淡黄色漿液性．腫瘍の肉眼所見では単房性嚢胞性で内部に充実成分を認めなかった．病理検査では成人型顆粒膜細胞腫の診断であり，臨床期はIcであった．現在は再発兆候に注意しつつ外来での経過観察中である．術前にE2上昇を認めていたが，充実成分がないことで顆粒膜細胞腫の診断が困難であった教訓的な症例であると考えられる． 関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 346-346, 2011 |
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