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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
子宮全摘術から1ヶ月後に発症した仮性子宮動脈瘤破裂の一例


大井 恵, 大木 麻喜, 奈良 政敏, 端 晶彦, 平田 修司
山梨大学産婦人科


今回我々は,子宮全摘術後に発生した仮性子宮動脈破裂に対し,経腟ドプラ超音波検査による診断を経て子宮動脈塞栓術を行い奏功した症例を経験した. 症例は48歳2経妊1経産.既往歴に慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(以下CIDP)がありステロイド内服中(PSL2.5mg隔日投与)であった.46歳時に甲状腺乳頭癌のため腫瘍摘出術を施行され,その後CIDPは改善傾向であった. 多発子宮筋腫のために当院において腹式単純子宮全摘術,両側卵管切除術を施行した.術後腟断端から少量の出血を認め,腹腔内の血腫形成もみられたが増大傾向はなく術後11日目に退院となった.以降外来にて経過観察し血腫の縮小傾向を認めていた.術後27日目に突然の凝血塊の排出と出血の増量を主訴に来院した.腟断端縫合部より動脈性の出血があり止血困難であった.経腟超音波検査では腹腔内に新たな血腫様の腫瘤があり,ドプラで動脈性の血液流入像が確認された.仮性動脈瘤の破裂が疑われ,緊急で血管造影検査を行ったところ,右総腸骨動脈造影で子宮動脈断端部に3cm大の仮性動脈瘤の形成を認め,そこから腹腔内へ造影剤が漏出する像が認められた.また,子宮静脈の描出もみられたため,動静脈瘻の合併と診断した.コイルによる子宮動脈塞栓術を行ったところ,仮性動脈瘤からの造影剤漏出は消失した.術後は再出血なく経過し塞栓後17日目に退院となった.塞栓後41日目に腟断端の癒合と動脈瘤の消失を確認し,外来での経過観察を終了とした. 仮性動脈瘤は壁の脆弱性から破裂や動静脈瘻を生じることがある.本症例では子宮動脈断端に生じた仮性動脈瘤に感染,免疫能低下などが誘因となり動静脈瘻,破裂を生じたものと考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 349-349, 2011


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