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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
卵管留膿腫破綻から短期間でエンドトキシンショックを発症した一例


西村 良平, 渡邉 貴之, 武田 哲, 加藤 清, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科


卵管留膿腫は発熱や下腹部痛で発症することが多く,抗生剤による保存的治療や外科的治療で改善するため敗血症性ショックにいたる例は少ない.今回我々は卵管留膿腫の破綻により短期間で敗血症性ショック,エンドトキシンショックとなった一例を経験したので報告する.症例は36歳,0回経妊0回経産.既往歴に特記事項なし.タイ人で旅行中であった.受診前日より月経が開始し,当日朝から下腹部痛が出現し症状が改善しないため当院夜間救急外来を受診.下腹部全体に反跳痛を認め,発熱(39.1℃),白血球減少(2200),CRP高値(12.54mg/dl)があり,超音波断層法では左の卵管に液体貯留を認めた.入院し抗生剤の投与おこなったが,翌日になっても症状が改善せず,白血球1300,CRP24.10mg/dlと著明な炎症反応を認めたことから,汎発性腹膜炎の診断で同日緊急手術を施行.手術施行直前に血圧低下を認めショックと判断した.腹腔内は膿苔が大量にあり,軽度腫大した左卵管から排膿を認めたため左付属器切除術ならびに腹腔内洗浄ドレナージを施行した.またエンドトキシン691.40pg/mlと著明に高くエンドトキシン吸着療法を施行した.その後炎症反応は改善したが術後4日目にARDSを発症,再挿管し人工呼吸器管理が必要となった.術後8日目に抜管し,その後経過良好で術後20日目に退院した.入院時の血液培養ならびに腹水から嫌気性グラム陰性桿菌が検出されたが,菌の同定はできなかった.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 351-351, 2011


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