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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
子宮筋腫術後のミュンヒハウゼン症候群の1例


小林 祐介, 椙田 賢司, 加藤 恵利奈, 高田 眞一, 山本 樹生
日本大学産婦人科


DSM分類で虚偽性障害の再重症の病態として位置づけられるミュンヒハウゼン症候群は,病人を演じるために自傷行為や病気の捏造のエピソードを繰り返し医療スタッフや家族を振り回す異常行動を示す症候群で,対応に非常に苦慮する.我々が経験した症例を,文献的考察を含めて報告する.患者は40歳,0経妊で,38歳から線維筋痛症の診断で当院心療内科に通院していた.過多月経を主訴に当科受診し,子宮筋腫の診断で開腹術を施行し経過良好で退院した.術後40日に運動による創部離解で緊急入院,保存的治療後退院し,形成外科の外来で創部治療を継続した.術後586日に創部を中心とした下腹部と左大腿内側に,自壊排膿とそれに伴う疼痛,熱発を認め救急搬送,緊急入院となった.蜂窩織炎の診断で抗菌薬投与を開始し,手術室で緊急排膿術を施行した.術後4日から創部にVAC療法を開始した.術後10日の夜,突然ショック様症状を認めた.以前より同様のエピソード経験があるとのことであった.術後17日テガタームの一部がちぎれており創部出血を認めた.患者は創部を触ったと打ち明けた.その2日後より数回創部からシーツ一面の出血を認めた.術後35日,創部左側の小孔に便を認めた.術後38日に熱発・振戦・血圧低下を認め,血液培養からグラム陰性桿菌を認めた.以後精神科の介入を依頼した.術後47日に解熱したが,敗血症の原因は創部の便と考えた.術後52日に再度39度台の熱発を認め約2週間の治療を要した.術後65日にカミソリでルートを切断,術後66日に隠し持っていた針でリストカットし,術後67日にナースコールのコードで首をつった.家族と相談し術後70日自己退院した.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 352-352, 2011


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