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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍との鑑別が困難だった虫垂粘液腺腫の1例
浜野 愛理, 島田 学, 岩崎 奈央, 山本 晃人, 黒瀬 圭輔, 鴨井 青龍, 竹下 俊行
日本医科大学付属病院女性診療科
女性骨盤内に発生した腫瘍性病変は婦人科臓器由来が多いが,消化器・泌尿器等,多臓器腫瘍との鑑別を有することが少なくない.今回我々は,術前に右卵巣腫瘍との鑑別が困難であった虫垂粘液腺腫の1例を経験したので報告する.【症例】68歳女性,4経妊3経産.既往歴に子宮筋腫と糖尿病あり.近医での子宮癌検診にて右卵巣腫瘍を指摘され,当院紹介となった.診察上,右付属器領域に60×30mm大の緊満した腫瘤を認め,超音波にて腫瘤内部は高輝度と低輝度が混在していた.腹部造影CTでは右卵巣に54×30mm大の単房性嚢胞性病変を認め,嚢胞壁は薄く,内部均一,壁在結節は不明瞭であり積極的に悪性を疑う所見ではなかった.一方MRIでは,右付属器領域に57×31mm大の単房性嚢胞性病変を認め,嚢胞壁には壁在結節が数箇所認められ,卵巣癌を否定できない所見であった.また腫瘍マーカーはCA125;10,CA19-9;14,CEA;7.2であり,開腹手術の方針となった.術中所見では,両側卵巣は正常大であり,腫瘍は虫垂からの発生であった.腫瘍は未破裂で腹膜偽粘液腫を疑う所見も認められなかった.虫垂切除術を行い術中迅速病理診断に提出したところ,虫垂粘液腺腫との診断であり悪性を示唆する所見を認めなかった.術後7日目に退院となり,現在外来にて経過観察中である.【考察】術前の評価にて卵巣腫瘍と診断されても,特に右卵巣腫瘍に関しては,虫垂腫瘍の可能性も念頭に置き診療に望む必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
353-353, 2011
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