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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
リポソーマルドキソルビシン(PLD,ドキシル)長期投与により病状維持が可能であった再発卵巣癌4症例の検討
荒川 明日菜, 鈴木 理絵, 上西園 幸子, 佐藤 玲南, 川野 藍子, 須郷 慶信, 大井 由佳, 武居 麻紀, 安藤 紀子, 茂田 博行
横浜市立市民病院産婦人科
【緒言】再発卵巣癌の多くは化学療法に抵抗性を示し,その長期予後は不良である.そのため,再発卵巣癌治療の目的は初回治療と異なり,QOLの維持改善や症状緩和が優先される.リポソーマルドキソルビシン(PLD,ドキシル)は本邦で2009年に承認を取得し,再発卵巣癌治療においてその効果が期待されている.PLDの長期投与により病状維持が可能であった再発卵巣癌の4例を経験したので報告する.
【症例】症例は当院でPLDを投与した再発卵巣癌13例のうち,長期投与(11-18コース)が可能であった4例.病期はそれぞれ1c,2c,3c,4期で,組織型は漿液性腺癌2例,明細胞腺癌1例,類内膜腺癌1例であった.いずれも初回治療として手術療法及びタキサン製剤とプラチナ製剤の併用療法を行ったが再発を認め,CPT-11を中心とした2次化学療法や放射線療法が行われたがPDとなり,PLDの投与が開始された.PLDの投与期間は,11-18ヶ月であり総投与量は554mg-831mg/m2であった.副作用としてはGr2口内炎4例,Gr1-2好中球減少3例,Gr1-2手足症候群2例,Gr1悪心1例を認めた.いずれも心機能障害は認めなかった.現在,4例共にSDで治療継続中である.
【考察】今回経験した4例ではPLDの長期投与により病状の改善は認められなかったものの,病状維持が可能であった.またPLDの投与量や投与間隔の変更により,著しい有害事象は認めなかった.従って,PLDはその副作用に留意することにより,再発卵巣癌に対しQOLを著しく損なうことなく長期投与による病状維持が可能な薬剤として期待されると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
356-356, 2011
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