|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
片側卵巣・卵管欠損を認めた2症例
松浦 拓人, 古澤 嘉明, 高木 清考, 伊豆田 千夏, 佐藤 茉弥, 可世木 華子, 田中 亜由子, 高矢 寿光, 鈴木 真, 大塚 伊佐夫, 清水 幸子
亀田総合病院産婦人科
女性性器の先天異常はしばしば認められるがその多くは子宮や腟の奇形であり,月経異常や下腹痛などの症状を呈し発見される事が多い.しかし,卵巣や卵管の奇形は無症状のため発見されにくく報告は少ない.腹腔鏡下手術時に偶然に発見された片側卵巣・卵管欠損症の2例を経験したので報告する.症例1:28歳 既婚 0経産,不妊を主訴に受診し,筋層内筋腫及び,子宮卵管造影にて右卵管閉塞と診断した.右卵管閉塞・子宮筋腫に対して腹腔鏡下手術施行したところ,右卵管が峡部より末梢で欠損していた.子宮奇形はなく,卵巣・卵巣固有靭帯・子宮円靭帯・骨盤漏斗靭帯は正常に認められた.術後タイミング療法で妊娠し分娩となった.症例2:23歳 未婚 0経産,他医にて施行した腹部CTで10cm大の右卵巣嚢腫を指摘され当科紹介となった.腹腔鏡下手術施行時に,対側の左卵巣・卵管・卵巣固有靭帯・骨盤漏斗靭帯の欠損を認めた.子宮奇形はなく,子宮円靭帯は正常に認められた.付属器欠損は卵巣のみ,卵管のみ,あるいは同時欠損のタイプが報告されており,その成因は後天的に付属器の捻転によって生じる場合,あるいは先天的な発生の過程で問題が生じる場合の2つが考えられている.発生異常に関してはミュラー管発育過程での部分的血行障害,あるいは局所損傷などにより片側性腺の形成不全が生じると考えられる.今回の卵巣・卵管欠損症例は腹腔鏡下手術の際に偶然判明した症例であり,その成因を特定するのは困難であった.実際に,対側の卵巣・卵管の機能が正常で妊孕性にも問題がなければ,判明することは難しく,手術時には健側の卵巣・卵管を十分に確認することが必要と考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
362-362, 2011
|