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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
子宮動脈近傍の広間膜後葉に着床していたと考えられた腹膜妊娠の一例


齋藤 泉, 平池 修, 保谷 茉莉, 甲賀 かをり, 藤本 晃久, 大須賀 穣, 久具 宏司, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学産婦人科


【緒言】異所性妊娠における腹膜妊娠の発生頻度は,全異所性妊娠の1%,全妊娠の0.01-0.02%程度で極めて稀である.今回我々は異所性妊娠を疑い緊急手術を行ったところ,腹膜妊娠と診断された症例を経験したため報告する.【症例】40歳1経妊1経産,今回月経様出血から6週間後,3日前より持続する腹痛を主訴に近医泌尿器科を受診したところ,CTにて子宮付近の腫瘤が疑われたため前医産婦人科を受診した.子宮内に胎嚢を認めず異所性妊娠を疑われたため,精査加療目的にて当科救急搬送となった.【結果】経腟超音波にて付属器領域に頭殿長19.3mmで心拍を有する妊娠8週6日相当の胎児を認めたが,腹腔内出血は少量と判断された.子宮前壁,後壁にそれぞれ8cm大の子宮筋腫を認めた.異所性妊娠を疑い緊急手術とし,腹腔鏡下に妊娠部位を検索したが,両卵管に病変を認めず腹腔内出血が増悪してきたため開腹術に切り替えた.腹腔内を精査したところ,胎嚢を発見し,妊娠部位は子宮動脈近傍の広間膜後葉であることが判明した.縫合にて同部の止血を試みたが止血困難であったため,単純子宮全摘出術を行った.術後経過は良好で,術後7日目に退院となった.術中に採取した血中HCGは6193.4 mIU/mlであったが,術後4週間目には血中HCGは1.5 mIU/mlまで低下した.【結語】腹膜妊娠は術前診断として困難な場合が多い.異所性妊娠を疑った場合には,腹膜妊娠の可能性も考慮する必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 362-362, 2011


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