|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
妊娠中に胎盤肥厚を呈した画縁胎盤の1例
小川 達之, 奥田 靖彦, 多賀谷 光, 深澤 宏子, 小笠原 英理子, 大木 麻喜, 和田 麻美子, 端 晶彦, 平田 修司
山梨大学医学部産婦人科
【緒言】周郭胎盤,画縁胎盤などの絨毛膜外胎盤の妊娠例では周産期予後が不良とされるが,出生前の診断法については未だ確立されているとは言い難い.今回,妊娠中に胎盤肥厚を指摘され,妊娠36週に性器出血を繰り返して緊急帝王切開となり,画縁胎盤であった一例を経験したので報告する.【症例】29歳,1回経妊1回経産.自然妊娠が成立し近医産婦人科にて管理されていた.妊娠8週から18週まで絨毛膜下血腫を伴う切迫流産にて入院していた.血腫消失後より胎盤肥厚の所見を認めた.胎盤付着部が低く,低置癒着胎盤を疑われて妊娠23週に当科紹介受診となった.超音波検査にて,胎盤は厚く円形の印象であったが,羊水量は十分であり,児の発育も週数相当であった.妊娠35週のMRIでは癒着胎盤の所見はなかったが,胎盤は5cmと肥厚していた.妊娠36週5日に約5cm大の凝血塊の排出を認め,入院管理とした.入院後も再度出血を認め,常位胎盤早期剥離の疑いで妊娠36週6日に緊急帝王切開術を施行した.児は2580g,男児,Apgar score 10,臍帯動脈血pH 7.30であった.肉眼的に胎盤は胎児面が重度に狭小化した画縁胎盤の所見であり,臍帯は辺縁付着であった.病理診断ではBlancI〜II程度のCAMと,母体面に付着した血腫を認めるのみだった.母児ともに産褥経過は良好であった.【結語】頻回の性器出血から緊急帝王切開に至り,厳重な周産期管理を必要とした画縁胎盤の1例であった.本症例のような胎盤肥厚の存在から絨毛膜外胎盤を想起し,綿密な管理を行うことが胎盤肥厚症例の周産期予後改善に必要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
366-366, 2011
|