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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
妊娠後期でHIVスクリーニング陽性が判明し,確定診断に苦慮した1例
福田 友彦, 大垣 洋子, 中西 美紗緒, 折戸 征也, 水主川 純, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 五味淵 秀人, 箕浦 茂樹
国立国際医療研究センター病院産婦人科
【緒言】妊娠後期で初めてHIVスクリーニング陽性が判明し,確認検査でHIV-1抗体陽性であったが,HIV-1RNA検出感度以下で確定診断に苦慮した1例を経験したので報告する.【症例】38歳0経妊0経産.日本国籍.自然妊娠であり妊娠判明時には西アフリカ在住であった.23週6日に帰国後初めて近医受診し,31週まで妊婦健診施行し,33週6日転居に伴い前医受診しスクリーニング検査でHIV抗原,抗体共に陽性で,確認検査のWestern blot(WB)法でHIV-1抗体陽性であり,HIV感染が疑われ,35週2日に当院紹介初診となった.PCRではHIV-1RNAは検出感度以下でCD4の低下は認めなかったが,HIV合併妊娠として扱い,入院管理としHAART開始した.また,頸管長33mmと保たれていたがNSTで軽度子宮収縮を認め,塩酸リトドリン内服開始した.その後,PCRでHIV-1プロウイルスDNA陽性となりHIV感染が確定した.37週0日朝に塩酸リトドリン中止,AZT点滴開始し,選択的帝王切開術施行した.児は2842g,Apgar7/10で,臍帯血HIV-1プロウイルスDNAは陰性であり,経胎盤感染は否定的であった.産後HAART中止し,児は人工乳,AZTシロップ内服とした.術後経過良好で産褥8日に退院となった.【考察】本症例ではWB法陽性であり,HIV-1RNA陰性であったが,母子感染予防のため直ちにHAARTを開始した.HIV-DNAにより診断確定に至ったが,この様な症例は極めて稀である.スクリーニング施行の遅延に加え,診断確定にも苦慮したが,児のHIV感染は現時点では確認されていない.妊娠初期のHIVスクリーニングのさらなる周知徹底が重要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
368-368, 2011
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