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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
先天梅毒の一例
上西園 幸子, 須郷 慶信, 荒川 明日菜, 佐藤 玲南, 鈴木 幸雄, 川野 藍子, 大井 由佳, 鈴木 理絵, 武居 麻紀, 安藤 紀子, 茂田 博行
横浜市立市民病院産婦人科
【背景】梅毒感染症は本邦において再び増加傾向であり,梅毒感染を疑う場合や未受診妊婦などのハイリスク妊娠には,妊娠初期検査施行後でも母子感染予防目的に梅毒再検査の必要性が指摘されている.今回我々は先天梅毒の一例を経験したので報告する.【症例】39歳,3経妊2経産.妊娠28週までインドネシアで妊婦健診を行っていたが梅毒は検査されていなかった.妊娠29週1日,日本に帰国し前医初診.31週4日妊婦健診時に腹緊,性器出血,頚管長短縮を認め切迫早産の診断で入院.子宮収縮抑制剤,抗生剤投与開始するも胎児心拍異常が出現したため当院に母体搬送となった.当院での母体血液検査でRPR,TPHA陽性であり梅毒感染症と診断.胎児well being評価ではNST non-reactive,BPS4点でありNRFSと診断.胎児超音波検査で肝脾腫を認め先天梅毒が疑われた.同日緊急帝王切開術を施行し1782g,男児を娩出.UApH 7.202, BE -7.3,Apgar score 1分値4点,5分値5点.術後1日目,母体は無症候性梅毒感染症第2期と診断され,Penicillin Gの内服を開始し術後5日目退院.出生児には水疱性皮疹,肝脾腫,血小板減少,貧血,骨端軟骨炎が認められ,FTA-ABS IgM陽性のため先天梅毒と診断した.【結語】今回母体血液検査と胎児超音波所見から出生前より先天梅毒を疑い,児娩出後早期に診断に至った一例を経験した.梅毒母子感染予防には早期発見,早期治療が重要であるが,本邦以外で管理された妊婦の場合には梅毒検査の行われていないことがあるため注意が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
369-369, 2011
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