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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
腰椎麻酔下の頸管縫縮術後に急性硬膜下血腫による意識障害をきたした一例
玉石 絢香, 成田 達哉, 小野 義久, 藤野 一成, 江良 澄子, 松村 英祥, 村山 敬彦, 高井 泰, 齋藤 正博, 高木 健次郎, 馬場 一憲, 関 博之
埼玉医科大学総合医療センター周産期センター
【緒言】腰椎麻酔の合併症として硬膜穿刺後頭痛はよくしられているが,まれに硬膜下血腫をきたすことがあり,その死亡率は9%とも報告されている.原因としては低髄圧に起因する架橋静脈やくも膜顆粒の破綻が挙げられているが,不詳な点も多い.今回,腰椎麻酔下の頚管縫縮術後に硬膜下血腫をきたした症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症例】22歳,1経妊0経産,既往合併症なし.妊娠26週5日,頚管長短縮(23mm)と胎胞膨隆を認めため,21G針を用いた腰椎麻酔下にマクドナルド頸管縫縮術を施行された.術直後より頭痛・悪心嘔吐を訴えており,術後3日に急速に増悪する意識障害(JCS300)および左瞳孔散大を認めたため,当院に救急搬送となった.CT,MRIでは,左急性硬膜下血腫とこれに伴うmidline shiftを認め,同日,緊急開頭血腫除去術を施行した.術後の全身状態は安定しており,後遺症なく経過した.その後も切迫早産に対して入院管理を継続したが,妊娠32週5日,陣痛発来のためマクドナルド非吸収糸を抜去したところ,経腟分娩にて2268gの男児を出産.産褥経過良好で退院となった.【考察】脊椎麻酔後の硬膜下血腫の初期症状として頭痛が必発であり,硬膜穿刺後頭痛の一部に軽症の硬膜下血腫が含まれる可能性も指摘されている.一方,穿刺後頭痛は若年者(20-40代),女性,太い穿刺針などで発症頻度が増加すると言われている.脊椎麻酔には本症のような重篤な合併症がありうることも念頭におき,手術の適否について慎重に検討するとともに,遷延する穿刺後頭痛に対する十分な診察と速やかな初期対応が肝要であると考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
369-369, 2011
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