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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
腹腔鏡下子宮筋腫核出術を授乳期に行うことの功罪
加藤 紀子, 小堀 宏之, 奥村 俊之, 高水 藍, 島貫 洋太, 太田 武雄, 永井 富裕子, 糸賀 知子, 西岡 暢子
越谷市立病院産婦人科
<緒言>子宮筋腫合併妊娠では,筋腫部の疼痛,切迫流・早産,前期破水,IUGRなど様々な合併症を来たすことがあり,妊娠分娩管理に苦慮する症例にしばしば遭遇する.このような症例では,次回妊娠に備えて分娩後に筋腫核出を希望する症例も散見される.授乳期間中に腹腔鏡下筋腫核出(以下LM)を行う事の功罪を評価するために,当院で分娩後より月経再開までの間にLM施行した症例の治療成績を検討したので報告する.<方法>対象は2010年1月から2011年6月にかけて,LMを行った212症例のうち出産後月経再開前までにLMをおこなったのは5症例であった.年齢は32.8±2.5歳,BMI 21.5±2.7,出産から手術までの期間10.6±5.1ヶ月であった.全例,術前偽閉経療法は行わずにLM施行した.<結果>核出筋腫最大径は7.4±2.6cm,核出個数は2.6±2.5個,術中出血36.0±19.6g,手術時間88.6±24.6分であった.この治療成績は,当院で通常施行している術前GnRHa投与を行った筋腫核出症例と同等なものであった.また,摘出筋腫のうち4症例に変性を認めており,水腫変性が1症例,粥状変性が3症例であった.<考察>授乳期に行うLMは術前に偽閉経療法した症例と同等の成績であった.腹腔鏡下という低侵襲な手術により乳児との離別期間を短縮する事ができ,偽閉経療法による副作用もないため授乳期間にLMを行う事は子宮筋腫の有用な治療法と考えられる.一方,変性した筋腫に高率に遭遇するため変性筋腫の核出を念頭におき,手術を行う必要があると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
371-371, 2011
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