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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
分娩時に破裂した卵巣皮様嚢胞腫の2症例


西舘 野阿, 宮内 彰人, 細川 さつき, 渡邊 理子, 中川 潤子, 山田 学, 木戸 道子, 笠井 靖代, 石井 康夫, 安藤 一道, 杉本 充弘
日本赤十字社医療センター産婦人科


【緒言】卵巣皮様嚢胞腫の破裂は約1%とまれであるが,妊娠・分娩時に多発する傾向がある.今回,分娩時に破裂した卵巣皮様嚢胞腫の2例を報告する.【症例1】34歳の初産婦.妊娠22週に骨盤内腫瘍の精査目的で当院初診,MRI検査でDouglas窩に8cmの皮様嚢胞腫が認められた.妊娠38週5日で自然陣発し,児頭の骨盤内嵌入とともに卵巣嚢腫は挙上し,経腟分娩に至った.産後3日目に心窩部から下腹部の広範囲に痛みが生じたが,自然に軽快.産後78日目に腹腔鏡下右卵巣嚢胞腫摘出術が施行された.卵巣嚢腫は6cmに縮小しており,骨盤腹膜の黄染と上腹部の癒着が認められた.【症例2】36歳の初妊婦.妊娠15週に当院を初診したが,卵巣腫瘍は指摘されていなかった.妊娠32週に一過性の右下腹痛とCRPの上昇が認められた.妊娠36週3日に前期破水し,翌日自然分娩に至った.産後4日目に右季肋部痛が出現し,CRPの上昇とともに右下腹部に痛みが拡大した.CT検査で右付属器領域に脂肪を含む25mmの腫瘤が認められ,産後12日目に腹腔鏡下手術が施行された.右卵巣皮様嚢胞腫破裂と流出内容による広範囲の骨盤腹膜炎と診断され,卵巣嚢腫摘出術および癒着剥離術が施行された.【考察】2例とも妊娠初期に卵巣嚢腫は診断されていなかった.症例1は骨盤内での児頭の圧迫による破裂の可能性が高く,妊娠初期に摘出術を行うべき症例であった.症例2は広範な化学的腹膜炎を発症したが,3cmほどの比較的小さな皮様嚢胞腫が破裂したと推定される.【結論】妊娠に合併した卵巣嚢腫の診断と取り扱いはガイドラインを参考に行い,産褥期の急性腹症の鑑別診断には卵巣嚢腫破裂も鑑別診断として念頭に置く必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 375-375, 2011


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