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【症例報告】
出生直後より重度運動機能障害を認めた軽度脳室拡大の1例


三原 賢子1), 牧野 真太郎1), 斉藤 知見1), 依藤 崇志1), 田中 利隆1), 杉村 基1), 竹田 省1), 池野 充, 奥村 彰久
1)順天堂大学産科婦人科, 同 小児科


 今回,我々は妊娠中に軽度脳室拡大(mild ventriculomegaly)を指摘され,妊娠40週にNon reassuring fetal status(以下NRFS)のため緊急帝王切開術で出生したが,直後より重度運動機能障害を認めた1例を経験したので報告する.症例は26歳女性.0経妊0経産.妊娠初期より他院で管理を受けていたが,妊娠29週に超音波検査で軽度脳室拡大を指摘され,胎児MRI検査後に当院に紹介となった.初診時の超音波検査では明らかな脳室拡大は認めなかったものの,左脳室周囲の輝度が高く,嚢胞状の所見も認めており,以前に出血した可能性も否定できなかった.その後進行性の脳室拡大は認めなかったが,妊娠40週3日に破水感で来院し,NSTで遅発一過性徐脈を認め緊急帝王切開術にて分娩となった.児は2,612 g,男児,Apgar score7/8(1分/5分)で,呻吟,低酸素血症,眼球上転・縮瞳を認め直ちに小児科管理となった.小児科入院時の頭部超音波検査でも明らかな脳室拡大は見られず,日齢5の頭部MRI検査で左脳室周囲の白質に軽度の異常を認めるのみであった.日齢365の時点でも運動機能障害に改善傾向はみられず,脳性麻痺に発展する可能性が高い.

Key words:Cerebral Palsy, Mild Ventriculomegaly, Obstetrics Compensation System

関東連合産科婦人科学会誌, 48(4) 411-417, 2011


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