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【症例報告】
正常大卵巣癌症候群との鑑別が困難であった卵管癌肉腫の一例


竹島 和美, 佐藤 団, 時長 亜弥, 笠井 絢子, 高島 邦僚, 茶木 修, 中山 昌樹
横浜労災病院産婦人科


 婦人科癌の中で卵管癌の占める割合は1%と少なく,中でも卵管癌肉腫は非常に稀な疾患である.我々は術前に正常大卵巣癌症候群の診断で開腹の結果,病理診断で左卵管癌肉腫と診断された1例を経験したので報告する.症例;65歳 1経妊1経産 少量の不正出血を主訴に前医受診.内膜細胞診疑陽性のため当院紹介受診となった.超音波診上中等度腹水貯留を認め,再度施行した内膜細胞診はClass IIであったが,腫瘍マーカーがCA19-9 2,406 U/ml, CA125 2,812 U/mlと異常高値を示し,腹水細胞診がClass Vであった.CT, MRIでは腹水を多量に認める他は子宮は小筋腫が存在するのみで付属器腫大も認めなかったが,大網に網状影を認めた.正常大卵巣癌症候群を疑い開腹.4,000 mlの腹水貯留があり,両側付属器腫大なく,左卵管軽度腫大,子宮は小筋腫を認めるのみであった.子宮表面,ダグラス窩,膀胱子宮窩は播種病変により強固に癒着.腹膜全般も肝臓の高さまで播種を認め,大網は腫瘤で一塊となっていた.子宮,右付属器は強固な癒着で摘出不能であり左付属器,大網切除を行った.病理では左卵管癌肉腫の診断(上皮成分;低分化腺癌,肉腫成分;平滑筋肉腫)で左卵巣,大網には卵管腫瘍の上皮成分と考えられる腺癌の増殖を認めた.以上より左卵管癌肉腫IIIc期(pT3cNxM0)と診断した.術後14病日よりmonthlyTC療法を開始.2コース施行後腫瘍マーカーは正常化.6コース試行後,画像上完全寛解であったため,再開腹を行い,腹式単純子宮全摘,右付属器切除術を追加で行った.病理所見としては,残存病変を認めていない.再開腹後7か月の段階で,外来慎重経過観察のもと,明らかな再発徴候を認めていない.結語;正常大卵巣癌症候群の術前診断で開腹した結果,左卵管癌肉腫の診断で術後TC療法が著効した症例を経験した.卵管癌肉腫は非常に稀な疾患であり,その診断・治療法は確立していないが,卵管癌に準じた診療が有用であると考えられる.

Key words:fallopian tube carcinosarcoma, normal sized ovarian cancer, fallopian tube carcinoma

関東連合産科婦人科学会誌, 48(4) 423-428, 2011


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