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【症例報告】
子宮全摘出術が施行された妊娠17週子宮内胎児死亡における癒着胎盤の1例
若佐谷 敦, 柳 由紀, 大和田 倫孝, 厚木 右介, 小林 真実, 山田 哲夫, 佐藤 郁夫
国際医療福祉大学病院産婦人科
癒着胎盤は分娩後に診断されることが多く,母体の予後に重大な影響を与える疾患である.今回,妊娠17週の子宮内胎児死亡で死胎児娩出後に癒着胎盤と診断され,子宮全摘出術が施行された1例を経験した.症例は40歳,6経妊2経産(帝王切開術2回)の主婦である.妊娠7週より性器出血を認めたため,切迫流産の診断でピペリドレート塩酸塩などが処方された.妊娠10週より性器出血は消失したが,妊娠12週より再出血し,妊娠16週で子宮内胎児死亡と診断された.ゲメプロストを投与し,妊娠17週で死胎児が娩出されたが,胎盤組織は少量のみ娩出された状態であった.胎盤娩出までの出血量は約500 mlであり,胎盤娩出後もさらに出血が持続し,1時間後には腟内に多量の凝血塊が認められた.超音波断層法で胎盤の遺残が確認されたため,胎盤鉗子で胎盤の娩出を試みたが困難であり,また出血量の増加が見られたことより,癒着胎盤の診断で単純子宮全摘出術が実施された.術後の経過は良好であり,術後5日で退院となった.胎盤付着部位は子宮体部後壁で,胎盤が強固に癒着しており,病理学的には楔入胎盤で,栄養膜細胞が筋層に侵入していた.絨毛の筋層内侵入はなかった.癒着胎盤においては,妊娠中期であっても分娩後異常出血が認められ,かつ子宮既往手術による癒着胎盤のハイリスク因子がある場合には,頻回に臨床所見を確認することが癒着胎盤の早期診断,早期治療につながると考える.
Key words:Intrauterine fetal death, Placenta accrete, Hysterectomy
関東連合産科婦人科学会誌, 48(4)
441-444, 2011
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