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【症例報告】
積極的な手術後にTC療法を行いえた卵巣原発癌肉腫の一例


長谷川 明俊, 渡邉 豊治, 飯田 玲, 福永 朝子, 増田 健太, 芥川 秀之, 榊原 嘉彦, 青野 一則, 秋葉 靖雄, 小西 康博
済生会横浜市東部病院産婦人科


 卵巣原発癌肉腫の好発年齢は60歳代で,頻度は全卵巣悪性腫瘍のうち約1%とまれである.診断時はすでにFIGO stage IIIないしIVであることが多く1781013,他の上皮性癌と比べてプラチナ抵抗性であり,予後は不良とされている2.今回,我々は積極的な手術療法とTC(パクリタキセル+カルボプラチン)療法を施行した卵巣原発癌肉腫(FIGO stage IIIc)の症例を報告する.症例は81歳,2回経妊2回経産.腹部膨満感を主訴に前医受診したところ卵巣腫瘍を認め,当院に紹介.CT, MRI検査にて20 cmの卵巣腫瘍と両側の水腎症を認めた.CA125は58 U/ml, CEAは7.6 ng/mlと軽度上昇していた.卵巣癌と診断し手術を施行.骨盤内を占拠する小児頭大の卵巣腫瘍を認め,腫瘤は小腸とS状結腸に癒着していた.また癌性腹膜炎の状態で播種巣は大きなもので4 cm大であった.術中迅速病理検査にて卵巣癌(扁平上皮癌)と診断.術式はcytoreductive surgery(ATH+BSO+OMT+腹膜播種巣除去)を施行した.高齢で輸血療法を必要とした長時間の手術となったためリンパ節郭清は余儀なく省略することとなった.術後病理結果より卵巣癌肉腫,pT3cNXMX, FIGO stage IIIcと診断した.術後にTC療法を6クール施行した.しかしTC療法を終えて5か月経過してから再燃(イレウス,腎後性腎不全)となり初診から15か月後に永眠となった.

Key words:Ovarian carcinosarcoma, Cytoreductive surgery, Chemotherapy

関東連合産科婦人科学会誌, 48(4) 445-450, 2011


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