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【症例報告】
子宮原発の血管肉腫(angiosarcoma)の1例
伊熊 慎一郎1), 鈴木 千賀子2), 竹田 純1), 上里 忠好1), 遠藤 周一郎1), 地主 誠1), 菅沼 牧知子1), 太田 篤之1), 村岡 由美子1), 五十嵐 優子1), 田口 雄史1), 三橋 直樹1)
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科1), 順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科2)
子宮原発の血管肉腫(angiosarcoma)の1例を経験したので報告する.症例は41歳,2経妊2経産.下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.精査の結果,卵巣出血もしくは卵巣嚢腫破裂を疑い緊急入院となり,当日に開腹手術を行った.術中所見では,子宮後壁右側に5 cm大の変性筋腫様の腫瘤が破裂し,静脈性出血を認め,その部位を楔状切除し縫合修復して手術を終えた.腹腔内出血は1,000 mlであった.摘出標本の病理組織学検査で,HE染色では子宮筋層に悪性細胞が浸潤し,不整な形態を呈する管腔構造を認めた.免疫組織化学染色では血管内皮細胞の特異マーカーCD31の陽性を認め,子宮原発の血管肉腫と診断した.初回手術より43日後に追加手術として腹式単純子宮全摘出術+両側付属器摘出術を行った.術後化学療法として,HEEp-DTIC(Hydroxyurea 2,000 mg/body, Etoposide 100 mg/body×5日間,Epirubicin 60 mg/body, Dacarbazin 200 mg/body×5日間)を3コース行った.初回手術後154日目に下腹部痛が出現し,精査目的に入院した.造影CTで骨盤内に占める腫瘍と多量の腹水を認め,再発と診断した.疼痛は塩酸モルヒネの静注でコントロールできたが,重症貧血,腎機能低下により全身状態が悪化し初回手術後162日目(再入院8日目)に永眠した.
Key words:angiosarcoma, immunohistochemical staining, CD31
関東連合産科婦人科学会誌, 48(4)
451-456, 2011
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