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【原著】
当科における過去5年間の腹腔鏡下手術に伴う合併症の検討


宮下 真理子, 原田 美由紀, 大石 元, 藤本 晃久, 大須賀 穣, 矢野 哲, 武谷 雄二
東京大学医学部附属病院産婦人科


 腹腔鏡下手術は患者への侵襲の軽減,入院期間の短縮など多くの利点がある.一方で,開腹手術と異なる操作も多いため,それらに起因すると考えられる術中・術後の合併症も認められる.したがって自施設における合併症を把握し,診療にあたることが必要である.そこで当科において2005年から2009年までの過去5年間での腹腔鏡下手術に伴う合併症と術式の関連について検討した.腹腔鏡下手術の総数は1,662例であった.(主な内訳は腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術805例,腹腔鏡下付属器切除術285例,腹腔鏡(補助)下子宮筋腫核出術402例,腹腔鏡(補助)下子宮全摘術181例,腹腔鏡下異所性妊娠手術93例,腹腔鏡下卵管切除術29例,診断的腹腔鏡手術112例)合併症の総数は13例で,術中合併症は7例(腸管損傷3例,膀胱損傷2例,尿管損傷2例)であった.術式別の検討では,腹腔鏡(補助)下子宮全摘術で頻度が高いことが示唆され,なかでも膀胱,尿管損傷を多く認めた.術後合併症は6例(後腹膜血腫感染3例,気胸2例,イレウス1例)であり,子宮内膜症症例に多く認められる傾向にあった.腹腔鏡下手術を行なうにあたり,その特徴を把握した上でトレーニングを積み,また合併症をおこした個々の症例を検討し,再発防止に取り組むことが重要であり,腹腔鏡下手術が困難と考えられる症例では躊躇せず開腹術に移行することも必要であると思われた.

Key words:Laparoscopic surgery, Complication, Laparoscopic hysterectomy, Endometriosis

関東連合産科婦人科学会誌, 49(1) 19-23, 2012


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