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【原著】
当院における羊水染色体検査の検討
中村 学, 日下田 大輔, 牛久 妙, 諏訪 裕人, 宮本 純孝, 西村 俊信, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
2003年1月から2011年5月までに当院で羊水染色体検査を施行した281例を対象に,検査数の年次推移,年齢,検査の適応,検査施行週数,検査結果,妊娠・分娩の転帰,穿刺後の合併症について検討した.検査数は年々増加の傾向にある.検査症例の年齢分布は35歳から39歳が最も多く49.5%を占め,以下40歳以上が23.5%, 30歳から34歳が21.7%, 25歳から29歳までが5.3%であった.検査の適応は高齢妊娠によるものが最も多く,52.0%を占めていた.次に母体血清マーカー高値が21.4%であった.以下,NT肥厚10.3%,本人希望7.5%,親戚に染色体異常3.5%,既往に染色体異常児の分娩3.2%,既往に染色体以外の異常児の分娩1.4%,親戚に染色体以外の異常0.7%であった.検査施行週数は16週が一番多く37.0%を占めていた.検査結果の核型異常の総数は13例で,核型異常検出率は4.6%であった.その内訳は21トリソミーが5例,18トリソミーが2例,13トリソミーが1例,ターナー症候群が3例,トリプルXが1例,過剰マーカー染色体が1例であった.核型異常の妊娠転帰は,過剰マーカー染色体の1例だけが妊娠継続中である以外は,人工妊娠中絶もしくは流産となった.穿刺後の合併症として,穿刺に起因すると考えられる破水が1例あり,発症率は0.4%であった.羊水染色体検査などの出生前診断の施行にあたっては,適応の選択や事前の十分なインフォームドコンセントが必要である.
Key words:Prenatal diagnosis, chromosomal abnormalities, Amniocentesis
関東連合産科婦人科学会誌, 49(1)
41-46, 2012
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