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【症例報告】
Pseudo-Meigs症候群を呈した子宮筋腫の1例


三原 賢子, 今村 利朗, 稲葉 智子, 鈴木 幸成, 清水 彰子, 牛垣 由美子, 多和田 哲雄
国際親善総合病院産婦人科, 多和田レディースクリニック


 Pseudo-Meigs症候群は卵巣線維腫以外の腹腔内腫瘍で胸水及び腹水を有し,腫瘍の摘出により劇的に改善する病態である.今回腹腔内腫瘤で胸腹水を有し,腫瘤摘出後胸腹水の改善を認めた一例を経験したので報告する.症例は38歳,2経妊2経産.1年前より腹部膨満感,過多月経,月経後の下腹部痛を自覚していた.症状の増悪,13 kgの体重減少,嘔気を自覚したため近医を受診したところ,超成人頭大の腹腔内腫瘤が認められたため,当院に紹介受診となった.内診で腹腔内を占拠する超成人頭大,弾性硬,可動性良好の腫瘤を触知した.経腹超音波検査では子宮内に2 cm〜7 cmまでの多発子宮筋腫を認め,さらにその頭側に子宮底部から連続する20 cm大に及ぶ巨大腫瘤と大量腹水がみられた.血液検査ではHb 8.8 g/dlと軽度の貧血を認め,LDHの上昇は認めなかった.腫瘍マーカーはCA125値が499.3 U/mlと高値であった.胸部X線検査で右胸水貯留を認めたため,胸水穿刺を施行したところ細胞診は陰性であった.骨盤MRI検査上,子宮内に多発子宮筋腫を認め,さらにその頭側にT1強調像にて低信号,T2強調像にて不均一信号である境界明瞭で左右径20 cm大に及ぶ巨大腫瘤と腹水がみられた.巨大腫瘤前面には著明に拡大した脈管構造が多数認められた.胸部〜骨盤CT検査では明らかな転移性病変,リンパ節腫大は認められなかった.以上より悪性疾患を積極的に示唆する所見がなく,画像上で巨大腫瘤は有茎性子宮筋腫もしくは子宮肉腫と考え,摘出手術の方針とした.手術所見では子宮は小児頭大に腫大し多発子宮筋腫を認めた.その頭側に子宮から連続する有茎性の腫瘤を認め,大網から多数の栄養血管を得ていた.術式は腫瘤摘出及び腹式単純子宮全摘術とした.検体重量3,240 g,腹水500 ml採取,腹水細胞診は陰性であった.病理組織所見は双方leiomyomaであった.術後胸水は消失し,CA125値は7.5 U/mlまで低下した.胸腹水を伴う腹腔内腫瘤は悪性疾患の存在を示唆させるが,MRI検査,CT検査での画像診断を加えることでPseudo-Meigs症候群の可能性を考慮し治療方針をあげられると考える.

Key words:Myoma of the uterus, Pseudo-Meigs syndrome, elevated CA-125 level, Magnetic Resonance Imaging, feeding artery

関東連合産科婦人科学会誌, 49(1) 55-62, 2012


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