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【症例報告】
異所性妊娠との鑑別に苦慮した妊娠4週の黄体嚢胞破裂の1例
近藤 壯, 塩野入 規, 横井 由里子, 塩沢 功
松本市立病院産婦人科
今回我々は異所性妊娠との鑑別に苦慮した妊娠初期の黄体嚢胞破裂の一例を経験したので報告する.症例は28歳,未婚,未経妊.無月経5週5日性交後に右下腹部痛を自覚し,A病院救急外来を受診した.理学的に腹痛以外の炎症徴候を認めず,血液検査でもWBC:8,100/μl, Hb:14.8 g/dlと貧血なく鎮痛剤を投与されたが,腹痛は改善せず翌日B病院救急外来を受診した.妊娠反応陽性のため,無月経6週1日B病院の産科へ紹介された.この際,超音波検査で腹腔内出血を認めHb:9.3 g/dl,尿中hCG:226.9 IU/Lと急速な貧血の進行を認めた.異所性妊娠破裂を疑われ,同日当院に救急搬送された.搬送時,尿中hCG:64 IU/Lと低下していた為,卵管流産後と診断し経過観察した.翌日精査目的にMRI検査を行ったところ右卵管破裂を疑う所見・径9 cmの急性期血腫を認め緊急腹腔鏡下止血術を行った.術中,子宮・卵管は正常であり右卵巣が破裂しており,右卵巣妊娠破裂を疑った.しかし術後5日目に尿中hCGは1,024 IU/L以上に上昇し,子宮内に胎嚢を認めた.右卵巣内容物の病理組織診の結果より妊娠初期の黄体嚢胞破裂と最終診断した.異所性妊娠は急性腹症の原因として代表的な疾患であるが,子宮内外同時妊娠や卵巣出血なども念頭において診断・治療に臨むべきである.
Key words:ruptured corpus luteum cyst, MRI, extrauterine pregnancy, laparoscopic surgery
関東連合産科婦人科学会誌, 49(1)
67-72, 2012
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