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【症例報告】
出生前に強く疑われた胎児副腎神経芽細胞腫の一例
梶原 一紘, 和田 誠司, 野口 大斗, 速水 恵子, 井上 桃子, 加藤 淳子, 堀谷 まどか, 土橋 麻美子, 田中 邦治, 種元 智洋, 大浦 訓章, 恩田 威一, 田中 忠夫
東京慈恵会医科大学産婦人科
神経芽細胞腫は1〜3万人に1人に発症する小児期悪性腫瘍である.1歳以上での発症は予後不良だが,1歳未満の発症は予後良好である.出生前に発症した症例は通常予後良好の場合が多いが,まれに胎児水腫や肝転移を認める場合があり,特に出生前に増大傾向を示す症例は予後不良の報告があり注意が必要である.今回我々は出生前に副腎発生の神経芽細胞腫が疑われ,増大傾向を示した症例を経験したので報告する.症例は32歳,初産婦,妊娠35週2日に胎児腹部腫瘤の精査目的で紹介となった.超音波断層検査の所見では左側腎上極に33.6×38.2×35.7 mmの中輝度の腫瘤を認めた.超音波パワードプラでは血流が豊富でMRIでも同様の所見であったため神経芽細胞腫を強く疑った.他臓器に転移や奇形は認めず,羊水量や胎児発育は正常であった.妊娠38週3日に分娩誘発を施行し,3,135 g男児を経腟分娩で出生した.出生後の精査の結果,副腎神経芽細胞腫と診断され,日齢12で左副腎摘出術を施行した.臨床進行期はstage Iと診断された.その後,生後10か月で皮膚に転移を認めたため化学療法を施行し消失した.現在,生後18か月で再発は認めていない.
Key words:Neuroblastoma, Prenatal Diagnosis, Ultrasoundsonography
関東連合産科婦人科学会誌, 49(1)
115-121, 2012
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