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【特集】
深部静脈血栓症を合併した子宮筋腫に対して一時的下大静脈フィルター挿入が有用であった2症例
佐藤 茉弥, 島田 佳苗, 前田 雄岳, 杉山 将樹, 西 健, 板垣 智昭, 満川 元一
水戸赤十字病院産婦人科
深部静脈血栓症(DVT)を合併した子宮筋腫に対して下大静脈フィルター(IVCF)挿入下で手術を施行し,塞栓症を回避しえた2例を経験したため報告する.症例1は50歳,2回経産,超成人頭大の子宮筋腫と左下肢にDVTを認め,未分画ヘパリン・ウロキナーゼ投与後数日でワーファリンに変更,その後一時的IVCFを挿入し単純子宮全摘術を施行した.術後1日目にIVCFを抜去している.症例2は,27歳,未経産,超成人頭大の子宮筋腫と左下肢にDVTを認めた.未分画ヘパリン・ウロキナーゼ投与数日後からワーファリンに変更,その後一時的IVCFを挿入し単純子宮全摘術を施行した.術後1日目にIVCFに血栓捕捉を認めていたため未分画ヘパリン・ウロキナーゼを再投与し,術後5日目に消失したためIVCFを抜去している.2例ともこれまでのところ再発を認めていない.大きい骨盤内腫瘍ではDVTの発症リスクは高いとされ,塞栓予防が重要であると考えられた.
Key words:DVT, Uterine myoma, IVCF, Preoperative management
関東連合産科婦人科学会誌, 49(1)
147-152, 2012
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