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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【教育セミナー3】
周産期・新生児学会「周産期専門医」制度


大浦 訓章
東京慈恵会医科大学産婦人科


 周産期専門医の概念は周産期医療に従事する医師の水準を高め,高度な医学知識と技能によって他の医師に適切に指示を与えることができる臨床能力を持つものを専門医として認めるとされている.
 この制度は平成19年新生児専門医よりスタートし,平成21年より母体・胎児専門医試験が開始された.現在の専門医数は新生児290名,母体・胎児257名である.平成23年10月第3回周産期(母体・胎児)専門医試験が施行,受験意思のある,または意思を示さず受験書類を提出した134名中86名が合格(合格率60.4%)した.専門医試験は2日間に渡り行われ,筆頭試験120分間,小論文試験,15分間の面接試験が実施される.
 受験資格:受験資格は,日本周産期・新生児学会の会員であり,日本産科婦人科学会専門医を取得した年に限り,4月に遡り研修開始とすることができる.研修期間は3年であり,学会の施設認定委員会で定めた基幹施設に6ヶ月以上研修する必要がある.指定施設,補完施設でも研修は可能であるが,補完施設は期間制限がある.研修期間中に必要な症例数を経験,学会での発表,査読制度のある論文発表も必要となる.研修終了後願書を提出すると受験資格が得られる.
 研修内容:次の3つの領域に分類した.
 A領域:周産期母子医療センターなどでNICUと協力し周産期管理を行う.
 B領域:高度な機能を持つ病院で母体合併症の管理及び母体救急などを行う.
 C領域:高度な機能を持つ病院で胎児異常の診断,管理,及び治療を行う.
 自分の専門分野で申請することができる.
 更新:専門医の期間は5年で,その後必要な単位数を取得し,インターネット試験に合格することにより,更新することができる.出産・育児,留学などの事情を届出により更新試験を遅らせることが可能である.専門医を5年行うと,施設において指導医となることが可能である.
 問題点:医師の少ない地方の周産期施設では,現在暫定的においている指導医と,研修医を兼ねることができず,その医師が専門医を取得することができないことがある.基幹研修施設の無い地域でも専門医をとることができない.また暫定制度がいつまでも残っていることも問題であるが,なかなか地方では専門医をとって指導医となる人材が育成せず,地域による問題が大きい.
 将来的展望:将来的目標は周産期センターには,必ず周産期指導医・専門医が指導を行うことが必須条件とすることが目標である.産科医療の訴訟には,施設の医療レベルの因子が大切の要因となり,個人の医療レベルが問題となることは少ない.当直帯など周産期が専門ではない医師も分娩介助に立会うが,この時専門性は加味されない.若手の医師には高度周産期医療を自信を持って行え,中堅の医師もレジデントの医療を支えられるよう,産婦人科医が最もやる気を失い医療トラブルに自分も後輩も巻き込まれないよう指導を行えるよう,周産期専門医の取得をすることをお勧めしたい.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 263-264, 2012


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