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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【ワークショップ2】
帝王切開時の筋腫核出術〜どのような症例に適用すべきか


尾本 暁子
千葉大学医学部附属病院周産期母性科-婦人科


【はじめに】近年,高齢妊娠を背景に,子宮筋腫合併妊娠が増加してきている.子宮筋腫合併妊娠では,早産や疼痛など妊娠中の問題のほか,分娩時および産後の出血や感染といった問題が生じることが少なくない.当院では,手術時間の制限や出血量増加のリスクなどの点を考慮して,帝王切開時には子宮筋腫核出術を原則として施行していない.このような方針で管理していると,ときに帝王切開時に核出術を施行したほうがよかったのではないかと思われる症例を経験する.そこで,分娩後の大量出血を予知できる指標を明らかにすることを目的に,当院で管理した子宮筋腫合併妊娠例について検討した.【対象・方法】2007年1月〜2012年2月に,当院で管理し分娩に至った子宮筋腫合併妊娠177例のうち,帝王切開分娩例59例を対象とした.このうち,@双胎妊娠・前置胎盤・常位胎盤早期剥離などを合併していた症例(8例)と,A帝王切開術時に子宮筋腫核出を核出した症例4例を除く47例について,臨床的事項と分娩時および後に発生した合併症(残存子宮筋腫による)との関係を検討した.【結果】筋腫の残存に伴う合併症としては,弛緩性出血(7例),筋腫変性と感染(1例),筋腫増大2例(このうち1例は尿閉を反復した),巨大筋腫によると思われる深部静脈血栓症(1例)があった.これらの合併症発生を目的変数に,子宮筋腫の@種類(漿膜下とそれ以外)A位置(下部と中央以上)B個数(4個未満と4個以上)C最大径の大きさ(10cm未満と10cm以上)D直径の合計(10cm未満と10cm以上)E胎盤に接するかどうかF胎盤に接した筋腫の大きさ(5cm以上と未満)を説明変数として多変量解析を行った.ステップワイズ法〜増減法では,10cm以上筋腫のみが優位の説明変数として抽出された.大きな筋腫を有する症例では,帝王切開時に子宮筋腫核出術を考慮するのがよい可能性が示唆された.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 277-277, 2012


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