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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【ワークショップ2】
帝王切開時の筋腫核出術:子宮筋腫合併妊婦に関する考察


古谷 健一, 吉永 洋輔, 精 きぐな, 中西 篤史, 太枝 美帆, 青山 真, 加藤 雅史, 吉田 昌史, 佐々木 直樹, 後藤 友子, 高野 政志, 笹 秀典
防衛医科大学校産科婦人科


【緒言】成書によれば妊娠に合併する子宮筋腫(筋腫)は0.5〜3.0%とされており,妊娠中には疼痛・切迫流早産が,分娩時には分娩障害・多量出血などの産科リスクが知られている.また帝王切開の頻度も高く,その際に筋腫核出術を並行して実施すべきかに関しては賛否両論があり最終結論は得られていない.今回,当科における筋腫合併妊娠の周産期予後を検討する中で,帝王切開と筋腫核出術の同時実施に関する検討をおこない,また筋腫合併妊娠における産科出血の背景因子を解析した.
【方法】検討(1):妊娠子宮の下部もしくは頚部に直径8cm以上の筋層内筋腫を認め,選択的帝王切開を施行した12例を対象とし,筋腫核出術の実施の有無について予後を調査した.検討(2):筋腫合併妊娠群87例(筋腫群)と臨床背景をほぼマッチさせた非合併例(対照群)87例について,分娩時出血量など周産期予後に関連する因子の解析を試みた.
【成績】検討(1):@選択的帝王切開を施行した12例(初産:8例,経産:4例)の臨床背景[平均(範囲)]は,年齢:34.5歳(26〜41歳)分娩週数:37.4週(36〜38週),筋腫直径:9.9cm(8〜14cm)であった.A筋腫部位は,前壁10例,後壁2例であった,B帝王切開と筋腫核出術を同時に施行した症例は3例(25%)で,いずれも前壁タイプであり,このうち2例(共に初産,筋腫直径:8cmと10cm)の予後は比較的良好であったが,1例(初産婦,筋腫直径:13cm)は手術終了後に弛緩出血傾向を呈し,やむなく再度開腹して子宮全摘に到った.C一方,筋腫核出術の非実施例9例は,平均出血量1,890g(羊水含)とやや多量ではあったが同種輸血例は1例(11.1%)のみであった.
検討(2):@筋腫群では,対照群と比較して帝王切開および経腟分娩のいずれ場合にも分娩時出血は増加傾向を示した.A特に筋腫体積100立方cm以上における帝王切開や,児体重3,050g以上の経腟分娩では多量出血となるリスクが有意(p<0.05)に高いことが示された.B従って,筋腫合併妊娠においては,自己血貯血や止血効果と妊孕性温存を志向した子宮動脈塞栓術(UAE)等のIVRの準備など,事前の備えが必要と考えられた.実際,一部の症例では実際にUAEが実施されていた.
【結語】最近,妊婦年齢の上昇に伴って増えつつある筋腫合併妊婦の管理において,帝王切開と筋腫核出術の併用の是非など課題が多く残されている.実際には帝王切開時に筋腫核出術が避けられない場合もあることから,そうした事態を想定して医療安全の面からも手術手技の議論と共に,自己血貯血やUAE等の準備,さらには十分な事前説明・同意の上で対応することが重要と思われた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 278-278, 2012


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