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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題】
X染色体に異常をもつ女性に対する生殖医療の問題点について
橋場 剛士, 荒岡 千景, 松澤 由記子, 和地 祐一, 橋本 玲子, 谷垣 伸治, 岩下 光利
杏林大学医学部産婦人科
【緒言】X染色体に異常をもつ不妊女性に対して生殖医療を実施する際の臨床的問題点について報告する.【症例提示】症例1:28歳女性.核型45,X/47,XXXのモザイクTurner症候群.第二次性徴を認めるが,最近は稀発月経となっている.不妊治療を希望し紹介受診した.循環器系の検査では心奇形や大動脈拡張を認めず,妊娠許可条件を満たした.周産期母体死亡率が2%あり,妊娠高血圧症候群になりやすく,子に染色体異常を合併する頻度が高いことを不妊治療前に説明.自然周期採卵,体外受精,ホルモン補充周期胚移植で妊娠成立し,帝王切開で健常児を分娩した.症例2:38歳女性.核型45,XのTurner症候群.卵巣機能不全,低身長などの典型的なTurner兆候を認める.不妊治療を希望し紹介受診した.FSH 73 mIU/ml,抗ミュラー管ホルモン<3pMであり,自己卵子での治療は困難であることを説明し,卵子提供の情報提示のみ行った.循環器系,内分泌系を含めた定期検診を受けておらず,今後は産婦人科が主体となってマネージメントすることにした.症例3:43歳女性.反復流産に対する検査において低頻度モザイク(45,X/46,XX)であることが判明.この低頻度モザイクは加齢性変化と考えられるが,反復・習慣流産女性との関連を示唆する報告もあることを説明した.【考察】Turner症候群の一部は自然または不妊治療により妊娠可能である.妊娠中に母体死亡を起こすことが報告されており,妊娠許可前に循環器内科医による評価を行い,妊娠中のリスクについてカウンセリングを実施しなければならない.低頻度モザイクはTurner症候群と臨床像が異なるのでカウンセリングをするときに留意する.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
283-283, 2012
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