|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題】
子宮体癌手術例における傍大動脈リンパ節のみへの単独転移例の病理学的検討
富里 祥子, 山上 亘, 進 伸幸, 小林 佑介, 野村 弘行, 片岡 史夫, 平沢 晃, 冨永 英一郎, 阪埜 浩司, 津田 浩史, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科
【目的】子宮体癌において骨盤リンパ節(PLN)および傍大動脈リンパ節(PAN)転移は従来手術進行期分類IIIc期に分類されていたが,FIGO2008ではPAN転移の有無でさらに細分化された.PAN転移の多くはPLN転移を伴うが,PANのみへの単独転移も少数ながら存在し,PAN郭清未施行例では転移が見逃され過小評価されている可能性がある.われわれはPAN単独転移例の病理学的因子を明らかにすることを目的とした. 【方法】1990年から2010年に当院で子宮体癌と診断され,子宮全摘出術,両側付属器摘出術に加えてPLNおよびPAN郭清を行った236例に対して,後方視的に検討を行った.なお,当院では原則としてPLN転移,付属器転移,筋層浸潤1/2超,予後不良組織型(類内膜癌G3および特殊組織型)のいずれかが認められる場合にPAN郭清を施行している. 【成績】PLN単独転移陽性例は34例(14.4%),PLNおよびPANともに転移陽性例は40例(16.9%),PAN単独陽性例は5例(2.1%)であった.PLN転移陰性例で,筋層浸潤2/3超の4.3%,付属器転移陽性の3.8%,特殊組織型の4.0%でそれぞれPAN転移陽性例を認めた.一方,いずれの因子も認めない症例ではPAN単独転移は認められなかった.PLN+PAN転移例とPAN単独転移例の間では病理学的因子の有意差を認めなかった.PAN単独転移部位は,左326b1が1例,左326b2が1例,右326b2が3例であった. 【結論】手術進行期分類を正確に診断するためには,PLN転移陰性例でも筋層浸潤2/3超,付属器転移陽性,特殊組織型症例ではPAN郭清を安易に省略すべきではないと考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
285-285, 2012
|