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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題3】
2絨毛膜2羊膜双胎の1児胎内死亡後に血液凝固異常をきたした1例


尾崎 景子, 川端 伊久乃, 桑原 知仁, 阿部 裕子, 滝本 佳世子, 高橋 恵理佳, 山岸 絵美, 印出 佑介, 林 昌子, 奥田 直貴, 関口 敦子, 中井 章人
日本医科大学多摩永山病院産婦人科


 症例は37歳0回経妊0回経産婦,自然月経周期より2絨毛膜2羊膜双胎を妊娠.初期の経過は順調であったが,妊娠25週1日双胎1児死亡と診断された.診断時血液検査所見に異常を認めず,切迫早産や感染兆候も認めなかった.生児の発育,well beingは順調であり慎重経過観察とした.妊娠29週2日FDP7.6μg/mL,D-dimer3.78μg/mlと凝固検査異常を認めた.下肢静脈超音波検査,膠原病検索などの血栓症スクリーニングを行ったが異常を認めず,双胎一児死亡が原因で微少血栓傾向が進行した状態と考えた.その後徐々に血栓傾向は増悪し,妊娠33週6日FDP40.2μg/mL,D-dimer13.94μg/mlまで上昇した為,抗凝固療法を開始,ヘパリンカルシウム10000単位/日を連日皮下投与した.その後凝固異常は改善傾向であった.しかし,ヘパリンカルシウムが原因と考えられるAT3の著明な減少を認め,5000単位/日へ減量したが,FDP・D-dimer値が増悪,母体血栓症のリスクを考慮し分娩誘発を行った.妊娠37週1日2294g男児をApgar Score1分値8点,5分値9点で出産,死産児は体重320g身長26cmであった.分娩後凝固異常は速やかに改善した.2絨毛膜2羊膜双胎1児死亡例の周産期予後は良好であり,fibirinogenとFDPを定期的にモニターし,DICを認めない限り待機的に管理する事が推奨されている.しかし妊娠中期から後期の1児死亡例では,血液凝固検査で著明な血栓傾向を示す事がありその管理に難渋する事がある.今回我々は,ヘパリンカルシウムを用いて良好な結果を得る事ができた.本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 290-290, 2012


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