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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))

【一般演題3】
二卵性一絨毛膜二羊膜性双胎の2例


鳥海 玲奈, 谷垣 伸治, 前原 真里, 上原 一朗, 眞山 麗子, 松島 実穂, 宮崎 典子, 橋本 玲子, 和地 祐一, 井澤 朋子, 酒井 啓治, 岩下 光利
杏林大学産婦人科


【緒言】従来,一絨毛膜性双胎は原則として一卵性であり,同じ遺伝子を持ち,性別は一致すると考えられていた.近年,性別の異なる二卵性一絨毛膜二羊膜性双胎(以下MCDZ-T)が報告されている.今回我々は,報告の稀な自然妊娠による1例を含むMCDZ-Tの2例を経験したので報告する.【症例1】33歳,1経妊1経産.顕微授精後,凍結胚盤胞2個を移植した.妊娠初期超音波検査にて一絨毛膜二羊膜性双胎(以下MDtwin)と診断.妊娠30週,胎児の性別が異なることからMCDZ-Tと診断された.出生児の外生殖器は,第1子は男児,第2子は女児であり,形態学的異常はなく,両児とも血液での染色体検査は約半数ずつのXXとXYのモザイクが確認された.胎盤の病理学的検査では,妊娠初期における癒合の可能性が考えられた.【症例2】31歳,0経妊0経産.自然妊娠.妊娠初期にMDtwinと診断.第1子は男児,羊水過少,右水尿管症,両大血管右室起始症を指摘され,第2子は女児,心室中隔欠損症が疑われた.MCDZ-Tと診断され,十分な説明の上,妊娠19週5日人工妊娠中絶を施行した.現在,病理学的検査,染色体検査中である.【考察】妊娠初期にMDtwinと診断された例の中にMCDZ-Tが存在することを認識しなくてはならない.血液キメラの問題点や動物では生殖能力への影響の報告があることから,今後の可能性につき十分な遺伝カウンセリングが必須である.MCDZ-Tは,全て生殖補助医療による妊娠と考えられてきたが,自然妊娠例を認め,理論上同一性例においても存在しうることから,これまでは限られた例のみの把握であることが明らかになった.胎児期に異常を認めないMDtwinであっても,長期的な観察を行う必要があると思われた.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(2) 292-292, 2012


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