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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題4】
KEGHと悪性腺腫の鑑別
谷口 華子, 時長 亜弥, 今井 雄一, 長谷川 哲哉, 沼崎 令子, 宮城 悦子, 平原 史樹
横浜市立大学付属病院産婦人科
最小偏倚腺癌(以下MDA,minimal deviation adenocarcinoma)は多量の水溶性帯下,子宮頸部腫大,頸部嚢胞性病変を特徴とする高分化型の粘液性腺癌であり,子宮頸部深部,子宮傍組織結合織浸潤,リンパ節転移をする予後不良の病変である.近年では同様の症状で良性の経過をたどる非特異型分葉状頸管腺過形成(以下LEGH,lobular endocervical glandular hyperplasia)が提唱されているが,両者の鑑別は困難である.当院で経験した2症例をもとに両者の鑑別を考察する.【症例1】43歳女性,0経妊0経産.不正出血を主訴に近医受診.組織診にてMDAを疑う所見を認め,精査加療目的に当院紹介.MRIでは子宮頸部腫大,T2高信号の小嚢胞の集蔟,間質肥厚,子宮腟部まで広がる病変を認め,MDAを疑う所見であった.診断目的に円錐切除術を施行し,病理所見よりMDAが強く疑われ子宮頸癌1b1の診断にて広汎子宮全摘術を施行した.手術検体からはAIS,LEGHの診断であった.【症例2】61歳女性,3経妊3経産.50歳時に水溶性帯下を主訴に当院受診.細胞診,組織診異常を認めMDAとの鑑別のため,円錐切除術を施行するも悪性所見は指摘されず,定期的に経過を見ていた.MRIではT2高信号の小嚢胞を認め,充実成分はなく間質の境界は保たれており悪性を疑う所見はなかった.しかし細胞診にてAGCを長期間認め,帯下の改善なく,拡大単純子宮全摘術,両側付属器摘出術を施行.手術検体からはLEGHの診断であった.【考察】臨床所見,細胞診,組織診にてMDAを疑う所見があれば診断目的に円錐切除術で主病変を推測し治療方針を決定する必要がある.しかし悪性所見を認めない場合や鑑別が困難な場合は正確な診断のため子宮全摘術にて詳細な検索を行う必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
293-293, 2012
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