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第123回学術集会(平成24年6月17日(日))
【一般演題4】
子宮頸管ポリープに発生した微小浸潤癌の一例
佐川 義英, 古村 絢子, 寺田 光二郎, 宮下 真理子, 長坂 貴顕, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 矢部 慎一郎, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
子宮頚管ポリープは日常診療でしばしば遭遇するが,組織学的には良性であることが多く,悪性であることは極めてまれである.今回われわれは子宮頸管ポリープに発生した微小浸潤癌の一例を経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】 70歳,3経妊2経産,閉経47歳,既往歴なし.数年前より下腹部痛出現し前医受診し卵巣嚢腫疑いのため当科紹介受診となった.初診時前医より指摘された右卵巣嚢腫(皮様嚢腫)のほかに,10mm大の頸管ポリープがあったためポリープ切除を施行した.同時に採取した子宮頸部・体部擦過細胞診はそれぞれNILM(classI)・classIであり異常を認めなかったが,頸管ポリープの病理組織検査で微小浸潤を伴う扁平上皮癌が認められた.このため子宮頸癌に準じる治療方針とし,まずは子宮頸部円錐切除術を施行した.切除標本においてCarcinoma in situ(CIS),margine negativeであった.円錐切除標本には微小浸潤癌の所見はなかったが,頸管ポリープの間質浸潤は明らかでありskip lesionの可能性も十分にあると判断し,ご本人とも相談の上腹腔鏡下腟式単純子宮全摘術・付属器切除を施行した.摘出した子宮には癌病変はみられなかった.【考察】頸管ポリープの悪性頻度は報告によっては0.5-0.6%とされる.大きさに関わらず頸管ポリープに対してはこのことを念頭において診療することが必要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 49(2)
294-294, 2012
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